[栃木]「みんな喧嘩しているんだよ」。阪倉裕二監督の言葉の意味とは

「いまは顔にあざつくっている奴がいっぱいいる。みんな喧嘩しているんだよ」

　9日の練習後、阪倉裕二監督が囲み取材の最中に唐突にそう話すものだから何事かと思った。

　杉本真の顔をみて納得した。左目の周りだけがくっきりと黒くなっている。”マコちゃん”の愛称で親しまれる杉本のそれはちょっとかわいらしく、まるでパンダのよう。漫画の世界のそれだった。

　明治安田J2第5節の磐田戦（0●3）で途中出場した直後、激しくボールにアプローチしたときに相手の肘を顔面で受けてしまったらしい。身長164cmの杉本にとって相手の肘はちょうど顔面の高さに飛んでくる危険な凶器だ。見るからに痛々しいあざだったが、

「いや、大丈夫っす」

　と、杉本はあざについてはほとんど触れず、いつもどおり淡々と次節でのゴールを誓っていた。

　球際の激しさに強みとこだわりを持つ今年の栃木。現在2連敗と奮起が期待されるが、阪倉監督は、

「みんな戦ってんだよ」

　と、目を細めながら話していた。


栃木担当 鈴木康浩