乾貴士のサッカーフリースタイル
神技リフティングバイブル
DVDスゴ技スペシャル
乾貴士 監修(カンゼン)
Jリーグ屈指の技巧派として知られるの乾貴士監修によるリフティング・テクニック集。現役選手である乾が自ら実演している点が特徴で、豊富なカラー・ページと実演DVDで全テクニックが詳しく紹介されている。
乾というと、ドリブラーという印象が強いが、巻頭に収録されたインタビューで「中学時代には監督の話もリフティングをしながら聞いていた」と語るほどで、テクニシャン揃いだった野洲高校時代にも熱心に練習したというスキルは筋金入り。ビギナー編・ベーシック編・スペシャル編と分かれているが、ビギナー編でもなかなか難易度の高いテクニックが含まれている。スペシャル編に至っては、「イヌイトルネード」や「イヌイタイフーン」など、自身の名前が付いたスーパー・テクニックが並び、DVDで見ていて「え? 今、何やった?」と思ってしまうものも多い。自分に可能か否かを抜きにして、純粋に観て楽しめるようなレベルのテクニックだ。もちろん、本・DVDのどちらにも気を付けるべきポイントがわかりやすく紹介されているので、実際にトライしたいプレーヤーたちにも大いに参考になるだろう。
また、リフティングで身につけた柔らかいボール・タッチを活かす、実際のプレーに即した実用的なフェイントのテクニックも併せて紹介されている。実際のプレーでのフェイントといっても、ドリブルの1対1で抜くためのテクニックというよりも、パスを受けるときのファースト・タッチの時に使うフェイントがメインになっていて、試合を観ていると気付きにくい、やけにあっさり抜けたように見えるシーンで使われているような、さりげないが実用性の高いプレーが並んでいる辺りが、いかにも乾らしいところだ。
前から感じていたが、日本人にはリフティング好きが多いように感じる。もちろん、リフティングはボールの中心をとらえる感覚、ボール・タッチの感覚を養うのに最適な基本的な技術だが、単に基本技術以上の、ある種のフェティシズムがあるかのようだ。例えば、草サッカーやフットサルなどで何人かが集まったときに、なんとなく始めるのはリフティングだったりする。そして、リフティングが上手いヤツが’上手いヤツ’として一目置かれたりしがちだ。某TV番組でその種の企画が成り立っているのも、そんなフェティシズムの現れかもしれない。本書は、そんなフェチにはたまらないテクニック集だとも言える。
乾貴士のサッカーフリースタイル 神技リフティングバイブル DVDスゴ技スペシャル
単行本(ソフトカバー): 128P
出版社: カンゼン