敵将・ネルシーニョ監督が「試合開始直後の失点と退場者が出たことが非常に響いた」と振り返ったとおり、序盤で試合の大勢が決まった感もあったが、それでもこのメンバーで勝ったことに意義がある。先週の練習でロドリゴ・ソウト、ペク・ソンドンが負傷離脱した。これに伴い千代反田がCBに入り、藤田をボランチで起用。中盤2列目に菅沼実を置いた布陣でアウェイでの連敗阻止を狙った。一人少なくなった柏にビッグチャンスを作られる場面もあったが、この布陣で全体のバランスが大きく乱れることはなかった。
久々に出番を得た選手たちが、臆せずしっかりと結果を残したことは、日々のトレーニングの賜物だと言える。この日のパフォーマンスを「厳しい練習をしてきたからこそ」と話していたのは4月14日の第6節・清水戦以来、今季2度目のリーグ戦先発出場となった千代反田。また、終盤に正確なクロスで前田のダメ押し弾を演出した菅沼実は、8試合ぶりのリーグ先発出場だった。「前田さんの動き出しが良かった」と謙遜しつつも、「チームとして練習でやっていることが出ていると思う」と手ごたえを感じていた。
森下監督は「ここまで思うようにゲームに出ることができていなかったと思うが、普段から誰よりも真摯に練習に取り組んでくれていた」と二人に賛辞を送る。もっとも、ここまで主力組に割って入ることができずにいた彼らの“気持ち”を絶やさなかった指揮官のマネジメントもあらためて評価されるべきだろう。
ベンチに甘んじていた選手がアピールし、藤田のボランチ起用を含めオプションが増えたことでチーム内の競争はさらに加速する。けが人は多いが、チーム状況は悪くない。5月以来の連勝を遂げた磐田。次節はホームで首位・広島を迎え撃つ。