万博に舞い降りた神
逃げるG大阪に追う川崎F―。息詰まる攻防が続いた万博記念競技場に80分、東口という名の神が舞い降りた。
90分間を通じて体を張り、川崎Fの強力攻撃陣を封じていた丹羽がレナトを止め切れず、圧巻の対人プレーを見せていた岩下も小林にフリーでシュートを許したが、ゴールネットを揺らされたはずの一撃はG大阪の守護神が封じた。17,615人の観客が狐につままれたかのような雰囲気がその一瞬、確かにスタジアムを覆っていた。100%入ってしかるべきシュートを封じられた川崎F側の絶望感と、逆転優勝に向けて許してはいけない同点弾を防ぎ切ったG大阪側の安堵感―。「完璧に当てたのにキャッチするとは」。小林の認識は決して負け惜しみではない。立ちはだかったはずの東口自身も「やられたと思った」一撃だったが、前半から再三好守で最後尾を締めてきた背番号1の体は自然と反応したという…