逆転ゴールを許して落ち込んだ空気を一変させたのは、中村が得意とはしない右足だった。「ファーで(佐藤)優平がフリーなのは見えていた」(中村)。右足に持ち替えてからの正確なクロスが佐藤のJ1初得点を生み出した。
そして勝ち点3を手繰り寄せたのは、誰もが知っている正確な左足だ。クロスのコースこそ狙いどおりとはいかなかったものの、結果的に藤田の大好物であるニアサイドへの鋭いボールに。2アシストという形で横浜FMを勝利に導き、昨季のリーグMVPが久しぶりに輝いた。
いまの中村をゴールシーンだけで語るべきではない。背番号10の周辺で起きる事象は、すべて彼が能動的に起こしているのだから…