降格の危機に瀕する桜の未来はこの男に託された。大熊裕司、その人だ。2010年からC大阪のアカデミーダイレクター兼U-18監督を務めて杉本や南野らを育て、05〜06年にはトップチームのヘッドコーチの経歴もある。トップチームの監督という立場は指導者のキャリアで初となるが、「クラブや選手の思いも背負いながら、全力でやりたい。気負いはない」と言い切る。
外部に向かって大きなことを言うタイプではないが、芯の強さを感じさせ、ひとたびピッチに入れば、よく通る大きな声で選手に指示を送る。「ピリッとした雰囲気」(南野)。「良い緊張感で練習ができた」(杉本)。全体練習初日の感想を、選手はそれぞれ、そのように話した。「(J1残留へ向け)われわれは後がない状況。メンタル面で、“勝つ”という思いを前面に出すことを伝えた」(大熊監督)。チームを率いるにあたり、“戦う”ことの意味を、あらためてチームに植え付けた。
基本コンセプトは…