中村俊輔には悩みごとがある。
そう書くと、多くの人は昨年11月に発症した胆のう炎を想像するだろう。しかし、現実は違う。今年5月に除去手術を行い、笑顔が戻った。食生活は通常どおりで、日によってはランチから焼き肉を頬張ることも。「肉の脂が必要なときもある」。そう笑って次の肉へと箸を伸ばし、どんどんたいらげていく。
悩んでいる理由は、不発続きの直接FKである。プロ入りした97年から昨年まで17年連続で代名詞とも言えるFK弾を披露しているが、今年はまだ一度もゴールネットを揺らせていない。直近だと第28節・清水戦(1○0)でゴールを狙える位置のFKを得たが、シュートはあえなく壁を直撃している。最も得意としている伝家の宝刀が決まらず、何度も顔を歪める。「なぜか分からないけど、入らない。せっかくここまで(17年連続で)来ているわけだから。残り試合で早く決めないと。個人的なモチベーションはそれ」
試合前日恒例のFKゲームで中村は…