甲府、6連敗の先にあった静かな喜び
試合終了のホイッスルが鳴ると、最後は10人になりながら鹿島のパワープレーをはね返し続けた甲府の選手がピッチで仰向けになっていた。6連敗の先に待っていたのは、小躍りしたくなる軽やかな歓喜ではなく、すべてを出し尽くした静かな喜びだった。
試合は多くの時間帯で、攻める鹿島対守る甲府という構図で推移した。しかし、鹿島の攻撃が機能しない。鹿島は昌子や土居、遠藤といった主力を温存し、J1初先発となる杉本などの若いメンバーがピッチに立ったため、思うようにパスが流れていかない。これには、試合が続くという消極的な理由だけでなく、準備は整ったという積極的な理由で若手を送り出したトニーニョ・セレーゾ監督も落胆の色を隠さない。ロングボールの多い展開に「僕が指導してきたサッカーではない」、「期待していた選手が期待どおりにいかなかった」と肩を落とした。後半開始早々の47分、…