Feature 特集

青山敏弘(広島)インタビュー「代表も僕は何も言わずに、結果を出していきたい」

2014/1/6 17:30



広島が2年間でブレずに積み重ねてきたモノは、今季のJ1最終節での逆転連覇という結果となって表れた。“前年度王者”として挑んだ今季、青山はチームにのしかかるプレッシャーを先頭で受け止め、チームをけん引してきた。連覇を目指す中での葛藤や、今季限りで現役を退く中島への思い、そして来季に見据えるリーグ3連覇、W杯について。広島を支える男の、これまでとこれからに迫った。

聞き手:寺田弘幸

試合終了後は勝ったことへの満足感でいっぱいだった

――今季は最終節・鹿島戦で横浜FMを抜き、逆転でJ1連覇を成し遂げましたが、優勝の実感はすぐに湧いてきましたか?

青山 最終節の鹿島戦(2○0)は、自分たちはやることをやったので、仮に優勝ができなくてもすっきりと帰れると思っていたのですが、最後に良い報告が舞い込んできました。信じられない思いもありましたが、やっぱりうれしかったですね。今年は我慢してきたので、それがやっと報われたという気持ちでしょうか。マリノスには直接対決で負けているし、そういう部分では素直に喜べないところもあるけど、その気持ちもまた自分たちの成長につなげていくことができるので。

――終盤戦の第32節・C大阪戦(0●1)で敗れて、一時は優勝が遠のきました(残り2試合で首位・横浜FMとの勝ち点差が『5』に開いた)。

青山 苦しかったですね。あの試合は自分もすごくふがいない出来で、責任もすごく感じていました。だからその後の2試合は、取り返してやろうと思ってプレーしていましたし、その思いがチームにもリバウンドメンタリティーとして働いて、優勝につながったのだと思います。自分自身も最後の2試合は良かったと思うので、あの経験があったからこそ成長することができました。

――最終節の鹿島戦は、優勝争いのプレッシャーが掛かる中で素晴らしい内容で相手を上回りました。

青山 失点をゼロに抑えることにこだわってプレーしていましたし、最後に追加点を取ることもできた。本当に良い試合ができたと思いますね。鹿島との試合は常に難しくなるのですが、あの試合はいつも鹿島にやられていたようなことを自分たちができました。落ち着いて試合を運べていたし、言うこともないです。優勝が決まったことは試合終了後に分かったので、試合が終わった瞬間はただ、鹿島に勝って帰れることに対してすごく満足感がありましたね。

『求められる場所にいろ』という言葉が大きかった

――今季は最終戦まで優勝の行方が分からない大混戦のJ1リーグ戦でした。

青山 Jリーグはそういうことが起こり得るリーグだと思います。終盤になるとどのチームも完成度を増してきて、どのチームと対戦しても結果は拮抗してくる。どのチームにもチャンスがあるリーグだと思いますが、そこでチャンスをつかめるか、つかめないか。結果を出すためにどれだけできるかだと思います。

――リーグ戦が終わって、やり切った気持ちはありますか?

青山 それはあまりなかったですね。昨季は終盤戦をずっと1位で戦い抜いていて、追われる立場が楽しかった、心地良かった印象がありました。自分たちが試されていると感じていて、それがすごく楽しかったのですが、今年は追う立場だった。マリノスが今年は試されているのだろうと思って追いかけていたし、その上で追う立場の自分たちの力もまた、試されているのだと思っていましたね。

――連覇を成し遂げたことの重みについては、何か感じていますか?

青山 それはまだよく分からないですが、いまはただうれしいですね。去年は優勝が決まった後に最終節が残っていて、その後すぐにクラブW杯もあったし、優勝も初めてだったので喜び方も分かっていませんでした。だけど今年は喜ぶ時間もあって、去年で優勝の経験もしていたから、喜び方も知っていた。そのぶん、今年は楽しいですね。喜びに浸ることができました。ファン、サポーターが笑顔で自分たちを迎えてくれて、みんなでJリーグアウォーズに行って、堂々と優勝フラッグを掲げることができた。すごく達成感がありましたね。

――Jリーグアウォーズでは、2年連続でベストイレブンに選出されました。

青山 それは、チームが優勝したからもらえたモノだと思っています。優勝できていなければあまり喜べていなかったシーズンでしたし、二つとも達成できて初めて価値があると思います。特にベストイレブンに関しては、去年のほうが達成感はありました。今年は去年を上回ろうと思ってプレーしてきた中で、自分のプレーに波があったので、もうちょっとやり切って『1年間良かったな』と実感できればベストでしたが、それは来年以降の自分自身への課題だと思います。満足したら終わりだと思うし、自分の中でベストイレブンは『来年も頑張れよ』という意味で与えられる賞だと思っているので、自分へのプレッシャーとして受け取って、また来年もチャレンジしたいですね。

――“前年度王者”として初めて臨んだ今季は、苦しいことも多かったのではないでしょうか?

青山 シーズンの最初は苦しかったですね。選手の入れ替わりはほとんどなかったのですが、その中でも少し入れ替わったところがうまく機能しなかったこともあって、うまくフィットするまでに少し時間がかかりました。ウチのサッカーは、オートマチックにボールが動いて、あまり周囲の状況が見えてなくても感覚で分かるような、そういうイメージやアイディアが一致したときに良いサッカーができます。それがシーズンの最初は、ちょっとズレてしまっていた。

 でも、自分はその問題については時間が解決してくれると思っていましたし、試合だけじゃなくて練習から意見し合って、すり合わせていく中でズレはなくなっていった。シーズンの最初のころは監督と『ACLに勝てなかったりして叩かれているけど、絶対に見返してやろう』と、よく話をしていました。そういった悔しい気持ちを、最後に結果に結び付けることができて良かったと思います。

――青山選手は昨季のオフにクラブと新たに5年契約を結ばれましたが、気持ちの面で変化はありましたか?

青山 年数は別に関係ないですよ。僕が頼んでそういった形になったのですが、これという理由があったわけではなくて、ただ広島が一番面白いし、自分も求められる場所でやりたいから、という理由です。

 昔、父親に『求められる場所にいろ』と言われたことがあるんです。一度目は・・・

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