本田圭佑 生き残りをかけたラストチャンス
少しだけ、遠慮がちに選手の輪の中に入っていく。ジョギングも黙々と行い、かつてのように大きな声を挙げることも少ない。本田圭佑は、静かに代表復帰を果たした。
約半年ぶりのハリルジャパン。指揮官が目指す縦に速い攻撃には見合わない選手。いまや定石となりつつあるそんな見立てもあり、本田は昨年10月にリストから外された。
東京から空路で14時間。さらに首都メキシコシティから車で2時間走ったところにパチューカはある。本田はその地で、この半年間ストイックに自らと向き合った。ミラン時代のフィジカルトレーニングを見直し、自分に足りない俊敏性や瞬発性を意識した練習法に改善。「必然的に体重が落ちた。それはパチューカならではの、あの田舎だからこそやり遂げられたことかもしれない」。何もない人口26万人、標高2,400mの小都市で、密かに本田は変身を遂げようとしていた。