かつての庭で見せた、新たな自分―。本田圭佑が、堂々豊田に凱旋した。
果敢にしかけた。ブラジルW杯のような重たい動きは、もうそこにはない。今季ミランで見せている躍動感をここ日本でも再現。放ったシュートはチーム最多の6本。ゴールを最大限意識したアタッカーへの変貌という、自らに化したテーマそのままのプレーだった。
アギーレジャパン初ゴールは、そんな新しい本田なりの駆け引きから生まれた。中盤で相手とのフィフティーなボールを先に触った長谷部誠から送られたロングボール。裏に抜けて受けた本田は完全にフリーだった。GKとの1対1。左足で流し込んだシュートは、GKの右手をかすめて静かにゴールネットを揺らした。それは今季のセリエA第7節・ベローナ戦、DFラミの一本のパスに抜け出し、冷静に決めたゴールを彷彿とさせた。
「『守備をサボる』ではないけど、ああやって前に自分が残って、味方がボールを奪ったあとに受けるイメージを持っていた。頑張り過ぎていたら、あと5mうしろにいたと思う。そういうところがサッカーの面白さでもある」
攻撃も守備も、ゲームメークもフィニッシュも全部やる。本田はいま、そんな完璧主義とは距離を置く…