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代表国際親善試合
10/14(火) 19:45 @ ナショナル

日本
0
0 前半 1
0 後半 3
試合終了
4
ブラジル

Report マッチレポート

ネイマールが4発のゴールショー。世界トップとの果てしなき差を突きつけられた日本

2014/10/14 21:45

 9月に本格始動したアギーレジャパン。新体制3戦目となった10日のジャマイカ戦(新潟)は、20本のシュートを放ちながらオウンゴールの1点のみということで、勝つには勝ったが決定力不足の課題が改めて浮上した。しかし、中3日で迎える14日のブラジル戦(シンガポール)は相手のレベルが全く違う。前回は優位に試合を運べた日本代表も、今回は守備重視の戦いを強いられると見られた。岡崎慎司(マインツ)も「粘り強い守りをやり切る必要がある」と強調。堅守速攻型のスタイルで世界トップの相手に勝機を見出せるかどうかが大きな注目点だった。

「メンバーを6人入れ替える」とアギーレ監督が前日会見で明言した通り、この日のスタメンは意外なほどフレッシュな顔ぶれになった。GK川島永嗣(リエージュ)、DF(右から)酒井高徳(シュツットガルト)、塩谷司(広島)、森重真人(FC東京)、太田宏介(FC東京)、アンカーに田口泰士(名古屋)、右インサイドハーフ・森岡亮太(神戸)、左インサイドハーフ・柴崎岳(鹿島)、3トップ右に小林悠(川崎)、左に田中順也(スポルティング)、1トップ・岡崎慎司(マインツ)の4−3−3。メキシコ人指揮官はこれまで軸に据えてきた本田圭佑(ミラン)や細貝萌(ヘルタ・ベルリン)らを外すという大胆な構成で大一番に挑んだ。

 対するブラジルは4−4−2。前線にはオスカル、ウイリアン(ともにチェルシー)、ネイマール(バルセロナ)、ジエゴ・タルデッリ(アトレチコ・ミネイロ)という超強力アタッカー陣がズラリと揃った。2014年ブラジルワールドカップで4位に終わった後、ドゥンガ監督が就任したブラジルは堅守速攻路線を推し進めている。ここまで3試合無失点ということで、彼らの手堅い守備をいかにこじ開けるかが日本の重要テーマと位置づけられた。

 地力に勝るブラジルが主導権を握ると思われたこの試合。国際経験の少ない選手たちを数多く並べた日本は案の定、劣勢を強いられた。不用意な形からボールを失い、アンカー田口の両脇のスペース巧みに使われ、ジリジリとブラジルに押し込まれる。そして傑出した決定力を誇るネイマールに個人技を嫌というほど見せつけられる。日本守備陣はそれを止めるので精一杯の状況が続いた。

 迎えた18分、ブラジルは日本の一瞬のスキを突いて先制点を奪う。ルイス・グスタボ(ヴォルフスブルク)→エリアス(コリンチャンス)とつながったボールが前線のネイマールに通った。ネイマールはいとも簡単に酒井高徳と川島をかわし、ラクラクと右足シュートを蹴りこんだのだ。「早い時間帯にブラジルに1点を取られると難しくなる」と長友佑都(インテル)も試合前日に語っていたが、日本にとってはかなり痛い失点だった。

 それでも前半24分に小林悠が田中順也のクロスをボレーで合わせた場面から、ようやくチームに勢いが出てくる。29分には中盤で存在感を発揮していた柴崎がミドルを放ち、35分には酒井高徳のクロスを岡崎がダイビングヘッドで狙うなど、得点の予感も感じられる。守備陣も塩谷がネイマールを決死のマークを披露。その奮闘ぶりは目を見張るものがあった。個の力ではブラジルを大きく下回った日本だが、前半は何とか失点を1にとどめることができた。

 1点差ならまだ勝ち目はある。アギーレ監督も負けるつもりはなかっただろう。前半球際で負けるシーンが多かった森岡に代えて後半頭から本田を投入。本田を3トップ左に置き、田中順也を左インサイドハーフに動かして勝負をかけた。しかしブラジルもオスカルとウイリアン、ダニーロ(ポルト)に代えて、フェリペ・コウチーニョ(リバプール)とエベルトン・リベイロ(クルゼイロ)、マリオ・フェルナンデス(CSKA)を投入。攻めに圧力を加えてきた。

 そのブラジルに日本はまたもイージーなミスから2点目を奪われる。中盤で柴崎がパスカットされ、代わったばかりのフェリペ・コウチーニョが前線へスルーパス。ゴール前に鋭く走りこんだネイマールが見事なゴールを決めたのだ。電光石火の一撃に、日本はなす術を見いだせなかった。

 巻き返しを図りたいアギーレ監督はこの直後に小林と武藤を交代。本田を右、武藤を左に回して打開策を探った。その3分後には中央をドリブルで持ち上がった田中のスルーパスに岡崎が反応。最高のタイミングでシュートを放ったが、惜しくもクロスバーに阻まれる。ブラジルの方も日本のミスから次々と速攻を仕掛けて追加点を狙う。彼らの多彩なカウンターの仕掛けを日本は見習わなければならないだろう。

 走らされ続けた日本は徐々に間延びし、オープンな展開を余儀なくされる。25分には田中に代えて細貝をアンカーに投入し、攻守のバランスの修正を試みたが、思うように流れを引き寄せられなかった。

 そんな日本にブラジルはとどめを刺す。後半32分、ネイマールの折り返しを途中出場のカカ(サンパウロ)がヘッド。クロスバーを直撃したこぼれ球をフェリペ・ルイス(チェルシー)がシュート。GK川島が弾いたこぼれ球をネイマールが押し込み、ハットトリックを達成した。

 この4分後には、またもカウンターからカカの折り返しにネイマールが飛び込んでヘッド。4点目を奪う。まさに世界的エースのゴールショーで、日本は完膚なきまでに叩きのめされることになった。

 残された時間で一矢報いたかった日本だが、太田のクロスから途中出場の柿谷曜一朗(バーゼル)がヘッドを放った後半44分の得点機も入らない。過去2年間に2度対戦した時と同様に、日本はブラジル相手にまたも1点も取ることができないまま、惨敗を喫した。新たな選手たちが果敢にトライしたことは収穫だが、いかにして世界トップとの差を詰めるのか。その道のりの遠さを痛感させられた一戦だった。

EG 番記者取材速報

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