泰良和彦
渡邉大は冷静だった。劣悪なピッチコンディションを逆手に取り、2分には遠目からのシュートでチームファーストシュートを記録。「グラウンド状態が悪かったので、枠に飛ばすことを意識した」(渡邉大)シュートは、FC東京GK権田の前で変則的にバウンドし、権田はCKに逃げるのが精一杯だった。
大宮は前半からピッチコンディションを見極めた戦い方を徹底した。前線の長谷川悠へのロングボールやサイドからのシンプルなクロスで相手ゴールに迫り、主導権を握った。「ピッチコンディションが悪い中でも、つなぐところと前に蹴るところのメリハリがゲームの中でしっかりできていた」と金澤。守備では相手のシュートミスに助けられた部分もあったが、27分には片岡がゴールライン上で梶山のシュートをクリアして、失点の危機を回避した。「いい精神状態で試合を運べていた」。ゲーム運びに手ごたえを感じていた渡邉大は78分、東からのリターンパスを右サイドで受けると、シンプルに中のノヴァコヴィッチにクロスを入れた。「流れの中であのタイミングで上げないと(中村)北斗に寄せられると思った」。ワールドクラスの一発が生まれた背景には、背番号13の冷静な判断が隠されていた。
1点のリードを奪った大宮は84分に再び片岡が渡邉千のシュートを無人のゴール前でかき出して得点を許さない。87分には金澤が負傷交代を余儀なくされたが、左SBで途中出場していた新戦力・河本がボランチにポジションを移して対応。90分には三田の決定的なシュートをGK江角が阻止した。「押し込まれる時間帯があったけど、耐えられたことが勝因」(金澤)。大宮が1-0で勝ち切った。
歓喜の瞬間、GK江角とCB片岡は抱き合って喜び合い、決勝点をアシストした渡邉大は精根尽き果てピッチに倒れ込んだ。90分のハードワークが報われた大宮は連敗を『3』で止め、降格圏を脱出した。