いまから4年前、本田圭佑は新天地の舞台で戦っていた。CSKAモスクワ(ロシア)の一員として、国内リーグではデビュー戦で得点し、欧州CLでもセビージャ(スペイン)を下す無回転FKを叩き込んだ。
あと少しに迫った南アフリカW杯に向けて、意気揚々と準備を進める。その勢いは大会直前でレギュラーに抜擢され、そのまま本番でチームを助けるヒーローに上り詰めてしまうほどだった。誰も手を付けられない速さで、本田は日本のエースの座へと駆け上がっていった。
あれから4年。本田の目標は、常に一貫していた。
「W杯優勝」
はじめは、頂点に立ちたいという熱を包み隠すことなく外に発し続けた。それは右ひざに重傷を負い、ピッチから長い間離れていたときも変わることはなかった。そんな本田も、自分の熱をオープンに表現することが少なくなっていく。プレーや戦術のこと、自分やチームに対する現状については話す。ただ、「W杯優勝」というセリフを自発的に口にする回数は減っていった。
現在、ミランで苦しみながらも、本田は自然体を貫こうしている。先日、ミラノでのインタビュー取材で話を交わたとき、彼はW杯と日本代表についてこう語っていた。「いまの代表は皆さんを楽しませることができるサッカーをている自信がある。W杯でもそれを伝えられると思う」
勢いよく突っ走っていた4年前とは違う姿勢で、本田がこの6月を迎えようとしているのは確かだ。最前線でチームを前進させる役割だった彼も、いまやチームの真ん中で周りを支えなければならない立場になった。もちろん、その奥底には“変わらぬ熱”を秘めている。本田が描く、壮大な物語。その実現に向けた戦いが、ついに幕を開ける。(西川 結城)'