4年後のロシアW杯で日本のエースとなりうる男が持ち合わせる光と陰が、甲府戦で如実に現れた。
「ボールの軌道と、蹴って当たった場所と、GKの位置と高さとボールの速度とイメージどおりのゴールだった」(宇佐美)。対峙する相手DFを無力化する宇佐美ならではのシュートセンスが凝縮した9分の先制弾はG大阪のみならず、ロシアW杯での再起を期す日本代表にとっても希望となるモノだった。
日本代表がこの先、いかなるスタイルを志向しようとも不可欠になるのが相手ゴールをこじ開ける個のシュート力。剛と柔を兼ね備えるG大阪の至宝のシュートセンスは確実にワールドクラスに近いレベルにあることを、リーグ戦再開早々に証明した恰好だ。
前半に限っては前線からの守備意識も高く、シュートと並ぶもう一つの持ち味でもあるドリブル突破にも積極性を見せていた背番号39ではあるが、後半は従来から指摘されている課題が露骨に現れた。
「前線で起点になるとか、守備をすることはもっと要求していかないといけない」。72分まで背番号39をピッチに立たせ続けた我慢強い指揮官はそのパフォーマンスをこう振り返ったが、後半の宇佐美は悪い意味でのメッシを見るかのようだった。背番号39の「守備放棄」が甲府の自由なビルドアップを許していたのは紛れもない事実。もちろん、凡人にはなしえない個の攻撃力を有している宇佐美に対して、凡庸なハードワークを求めるのは愚の骨頂であることは承知しているが、最低限の守備意識なしに、さらなるステップアップはありえない。
1得点1アシストでチームを勝利に導いたのが紛れもなく宇佐美ならば、終始劣勢を強いられた後半の戦いぶりも、背番号39の運動量に遠因があったのは間違いない。
救いは宇佐美が「今日の出来は(100点満点で)20点」と厳しい自己採点をしていることだ。
「この試合から、次のW杯への道が始まる」(宇佐美)と位置付けた甲府戦で、G大阪の至宝は何を学ぶのか――。その答えが今後のリーグ戦で出るはずだ。(下薗 昌記)
宇佐美貴史(うさみ・たかし)
1992年5月6日生まれ、22歳。京都府出身。178cm/69kg。G大阪JY→G大阪Y→G大阪→バイエルン・ミュンヘン→ホッフェンハイム(以上ドイツ)を経て昨季、G大阪に復帰。J1通算50試合出場13得点。J2通算18試合出場19得点。