不用意な失点と、その後の奮闘。見せてしまった若鹿の未成熟さ
あまりに完璧な前半が選手の目を曇らせたのかもしれない。10分に、西の大きなサイドチェンジから土居が見事なファーストタッチで先制点を挙げると、26分にはダヴィがロングボールの処理を誤った相手のスキを突いた追加点。前半は2-0というスコア以上に、13対2というシュート数がその内容を物語る。しかし、3点目を決められなかったことがその後の試合にどんな影響を与えるのかをこの時点で予想できる人はいなかっただろう。「あとの祭り」と、トニーニョ・セレーゾ監督は目を伏せた。
前半、鹿島が試合の流れをつかんだのはサイドの主導権を握ったからだ。サイドチェンジのタイミングは的確で、さらに土居のポジショニングが絶妙。FC東京のトリプルボランチが中央を絞めればサイドチェンジ。逆サイドに展開して、相手を走らせた。
しかし、後半からFC東京が3トップにしたことで自由に攻め上がっていたSBがけん制される。49分、山村が不用意なファウルでPKを与えると、一気に流れが傾いてしまった。ハーフタイムに「2-0というスコアは非常に危険なスコアである」と口を酸っぱくして選手に説いたセレーゾ監督のアドバイスも虚しく響く。その後、途中交代の青木が退場するアクシデントに見舞われながら、なんとか踏みとどまったものの、87分に中途半端なプレーからピンチを招くと最後は武藤に押し込まれ同点とされた。
小笠原ら主力3人を欠くだけでなく、相手にPKを与え、20分もの間を10人で戦わなければいけなかった。負けなかったことは及第点かもしれない。ただし、セレーゾ監督が言うところの「自分たちが有利なのか不利なのか、ということを整理しながらプレーする」ことができれば結果は違っていた。試合は90分。たとえ45分が良くても、次の45分も同じ展開である保証はどこにもない。その意味では、10人になってからの一致団結した戦いぶりは見事だったが、自覚と責任の強さ、臨機応変さはまだ未成熟。優勝するには、もう一段階成長しなければならない。(田中 滋)