やはり格別な勝利である。昨季に続き、ホームでのダービー完勝。昨季は浦和が3位、大宮が9位という状況だったが、今回は首位として残留争いをする大宮に完勝し、2位以下との差も広げた。その力の差を存分に見せ付けた試合だった。
ダービーにしては少し寂しい42,308人という観客数ではあったが、それでも第20節・広島戦までのホーム観客数の平均(無観客試合含む)より8千人ほど多く、最近では空席も目立つようになった北ゴール裏も埋まり、スタジアムの雰囲気もダービーらしかった。梅崎の先制点が決まった瞬間の音量は爆発的。試合後、勝利したチームへ送られるコールの声援もすさまじく、中断明けは初めてとなる試合後の『We are Diamonds』の合唱では北ゴール裏一面がオフィシャルフラッグ、タオルマフラーで埋め尽くされた。最も一体感が生まれたのはヒーローインタビュー時の森脇に対する“愛のあるブーイング”だったのもまた一興だろう。
もちろんスタジアムの雰囲気だけではない。
われわれ報道陣が取材をするミックスゾーンに選手たちが出てくるのはいつもより遅かったが、宇賀神は「気持ち良くなっちゃったのかな?」と笑った。実際の理由は分からないが、ロッカールームから大きな歓声が何度も聞こえてきたのは確かだった。ミックスゾーンに来た選手たちの多くは充実した表情、あるいは笑顔を見せていた。前述の宇賀神は終始、笑顔で冗談を含みながら饒舌に話し、普段はどちらかといえば真剣な表情で話すことが多い梅崎の顔も柔らかだった。彼らには当然、自らがゴールを決めて勝利を得た喜びがあったはずだが、それでも普段とは雰囲気が違った。
まだ残りは12試合あり、何かを語るには早過ぎる。この勝利は紛れもなく大きいが、これで緩んでしまっては何の意味もない。ただ、このスタジアムとチームの雰囲気が悲願成就の可能性を十分に感じさせたことは間違いない。(菊地 正典)