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FW 14 武藤 嘉紀(FC東京) / アギーレが選んだ初代表5人、それぞれの現在地

2014/9/2 10:16



ヨッチの本性。そのイメージの裏側に

 アギーレ・ジャパン初招集のメンバーが発表された8月28日。東京・小平の練習場に集まった報道陣の数は50人を超えていた。もちろん森重真人の存在も忘れていないが、大勢の人々は、“ヨッチ“こと武藤嘉紀の笑顔のコメントが目当てだった。

 一躍、時の人。それは少々言い過ぎかもしれないが、事実、彼の話題は途切れない。現役慶應大生Jリーガー、イケメンルーキー…響きの良い見出しは、多くの耳目を集めていく。発言も優等生の域を飛び出さない。ここ数日で、すでに武藤の印象は周囲に形作られつつある。

 そうした自分への“上っ面”のイメージを、武藤は当然好まない。「そういう印象だけで語られたくない。プロは勝負の世界。結果で評価してほしい」。

 カシマスタジアムにも、多くの報道陣が集まった。森重、柴崎岳を含め、代表選手3人がそろった会場。試合後、最も多くの記者やテレビマンに囲まれたのも武藤だった。

 この日、われわれが目にしたもの。それは、彼がこだわり続ける結果だった。2点差を追う後半。武藤は浮き球に反応し、一瞬のスピードでDFをかわしにかかりPKを獲得。そして試合終了間際、味方が泥臭くゴール前で粘ったボールが、目の前に転がり込むと、右足でゴールに流し込んだ。他力で奪ったようなゴールだったが、1点は1点。追撃の2ゴールに絡み、試合を引き分けに持ち込んでみせた。

 囲み取材では、優しげな言葉が続いた。人の輪が解けたあとも、あいさつをしてくる関係者一人ひとりに丁寧に対応した。その姿は、“ヨッチらしいイメージ”そのもの。ただ、忘れてはいけない。プレッシャーの掛かる代表戦前、最後の試合。武藤はそこで、文句なしの結果を出したことを。

 名ばかりの注目を浴びに行くわけではない。「結果を残したい」。そう語って北の大地へ向かう若者の背中。細身だが筋肉質な肉体同様、その心根は想像以上に強い。(西川 結城)

※第22節の採点6.5

武藤 嘉紀(むとう・よしのり)
1992年7月15日生まれ、22歳。178cm/72kg。東京都出身。バディSC→FC東京U-15深川→FC東京U-18→慶應義塾大。大学に在学しながら今季FC東京に加入。J1通算21試合出場7得点。

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