Feature 特集

MF 10 森岡 亮太(神戸) / アギーレが選んだ初代表5人、それぞれの現在地

2014/9/2 10:35



5年目の躍動。神戸の期待を背負い続けて

 バイタルエリアで前を向けば、森岡亮太は造作もなく決定的なスルーパスを狙う。敵にとってイヤな、味方にとって受けやすい強弱や緩急を込めた優しいパスだ。今節もこれまでと同じように、運動量豊富にピッチを駆け、序盤から精力的にゴールに迫った。ただ、繰り出す決定的なラストパスは、歓声を呼び起こしたその刹那、多くが溜め息に変わった。

 昨季のJ2、今季のJ1で衝撃を届けた長短のスルーパスは数知れない。ただ、試合後の森岡には、勝敗に関係なく、自戒する姿が目立つ。「もっと精度を高めないといけない」。神戸のショートパスを主体とするサッカーは、多くの選手たちによる技術と知恵の共演だ。ラストパスが決まらなければ、それは集体成に導かれない。神戸の“質”をけん引する稀代のパサーは、足りなかったものを受け止めて、進化の糧にし続ける。

 彼が今季、目指しているのは神戸に初タイトルをもたらすこと。開幕前に、タイトルは「僕次第」と話した背番号10は、「チームの勝ちにつなげる役割があると思っている」と自覚する。昨季、森岡はJ2で輝いたが、不遇をかこっていた前半戦、練習試合で好プレーを披露した森岡に、安達監督は甘い評価は下さなかった。「アイツはもっと神戸で輝いてもらわないといけない選手」。森岡が加入した当初はチーム統括本部長を務め、後に神戸の指揮官になった和田昌裕氏は森岡に言い続けた。「お前がやらなアカンねんぞ」。J1の舞台で開幕以来、主力として戦う初めてのシーズン、チームの中心として逆境をはね返す責務を負う初めてのシーズン。「僕にとっては、すべてのことが未経験」。クラブの期待を背負い続けた“5年目のルーキー”は、フォア・ザ・チームの深淵を覗き続けている。

 今節、森岡は決勝点を決めた。いま再びの神戸旋風の狼煙を挙げて、初めてのA代表の舞台に出陣する。「どれだけ自分はやれるのか」。新たな未経験の舞台が、森岡にやって来る。(小野 慶太)

※第22節の採点7

森岡 亮太(もりおか・りょうた)
1991年4月12日生まれ、23歳。180cm/70kg。兵庫県出身。正道カンガーFC→FCソルセウ→東城陽中→久御山高を経て2010年に神戸加入。J1通算71試合出場6得点。J2通算18試合出場5得点。

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会