ハビエル・アギーレ監督率いる新生・日本代表の初陣となるウルグアイ戦当日を迎えた。5日の札幌は爽やかな晴天に恵まれ、札幌ドームのチケットも完売し、新たなチームの門出にふさわしい舞台が整った。
アギーレジャパンは1日から札幌合宿に突入。初日は国内組を中心とした16人のみの参加だったが、2日目には合流が遅れていた本田圭佑(ミラン)、長友佑都(インテル)ら欧州組7人が加わり、ようやく23人全員が揃った。しかし非公開となった3日目の戦術練習後、4年間キャプテンマークを巻いてきた長谷部誠(フランクフルト)が左ひざの違和感を訴えて離脱。結局、22人でこの試合に挑むことになった。
新指揮官は非公開の3・4日に自らがベースと考える[4-3-3]の基本コンセプトを選手たちに植え付けた。「2〜3日で詰め込むだけ詰め込んだんですけど、約束事はホントに最低限。コンパクトに保つこととか、切り替えをとにかく速くしないと相手チームは速いぞというところとかを言われた。バランスが大事だと思う」と田中順也(スポルティング)も話していたが、そういう基本中の基本をどうピッチ上で実践していくか。そこが重要ポイントになると見られた。
注目のスタメンだが、GK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)、DF(右から)酒井宏樹(ハノーファー)、吉田麻也(サウサンプトン)、坂井達弥(鳥栖)、長友佑都(インテル)、アンカーに森重真人(FC東京)、右インサイドハーフ(攻撃的MF)に細貝萌(ヘルタ・ベルリン)と左に田中、3トップの右に本田、左に岡崎慎司(マインツ)、中央に皆川佑介(広島)の[4-3-3]。初代表の坂井と皆川をいきなり先発に抜擢し、アンカーには有力視された細貝ではなく森重が入るという驚くべき構成。キャプテンマークも本田が巻くことになった。対するウルグアイは[4-4-2]。ゴディン(アトレチコ・マドリード)やカバーニ(PSG)、ゴディンら2014年ブラジルワールドカップの主力とともに、ロラン(ボルドー)ら売り出し中の若手もピッチに立った。基本布陣は[4-1-4-1]だ。
格上のウルグアイの攻めをいかに耐え、得点につなげていくかが注目点だったこの試合。日本は手堅い入りを見せた。ザッケローニ監督時代のような前線からの激しいプレスは自重し、攻撃陣と守備陣の距離感をコンパクトに保って前後左右に動くという形で相手を迎え撃った。攻撃時には森重が下がってビルドアップに参加し、酒井宏樹と長友の両サイドバックが高い位置を取り、[3-4-2-1]になる。そしてトップの皆川をターゲットにしながら、本田や岡崎、田中らが絡んで攻めていく。臨機応変さがアギーレスタイルの特徴なのだろう。
日本の最初の決定機は前半17分、左サイドをえぐった岡崎のクロスにゴール前で皆川がドンぴしゃりのタイミングでヘッドを放ったシーンだった。これは完全フリーだっただけに決めなければならなかった。が、皆川の前線での存在感が今後の日本にとって大きな武器になりそうな予感が漂った。
守備陣もお互いにカバーを意識しながら粘り強く守っていたが、34分に手痛いミスが出てしまう。酒井宏樹のバックパスに反応した坂井のトラップが大きく、カバーニにボールを奪われたのだ。この後、カバーニはカセレス、ロランとのパス交換からゴール前に飛び出し、冷静に右足を振りぬく。実績十分の点取屋の一撃でウルグアイが先制点を挙げた。
こうなると日本としては追いつくしかない。序盤より長友や酒井宏樹が高い位置を取って外から崩す意識を強めるが、思うようにゴール前にボールが入らない。本田にボールが渡る回数も少なく、前半は無得点。急造チームのギクシャク感も少なからず垣間見えた45分間だった。
迎えた後半。1点を追いかける日本は開始4分の本田のドリブル突破からのFKなどでチャンスを作るが、思うようにゴールをこじ開けられない。そこでアギーレ監督は12分、皆川に代えて武藤嘉紀(FC東京)を投入。武藤を3トップの左に置き、岡崎を中央に動かした。これで多少なりとも攻撃が活性化され、17分の田中順也の強烈ミドルシュート、20分の岡崎の裏への飛び出しなど得点の可能性が見えてくる。
しかし、ウルグアイもカバーニとロランを下げて、ストゥアニ(エスパニョール)やエルナンデス(パレルモ)を送り出し、追加点を狙ってきた。日本は押し込まれる時間帯も長かったが、何とか全員で体を張って決定機を作られるのを防いでいた。そんな中、アギーレ監督は[4-3-3]から[4-4-2]へシステムを変更。田中が左MF、武藤が右MFに開き、本田と岡崎が2トップに入ることで、チーム全体を活性化させようとした。
そんな最中にまたもミスが出てしまう。後半25分、右に開いたゴンザレスのクロスを酒井宏樹がクリアミスし、ロデイロ(コリンチャンス)がシュート。このクリアボールのこぼれ球をエルナンデスが押し込み、勝利を決定づける2点目を奪った。
窮地に立たされた日本は後半32分、田中に代えて柿谷曜一朗(バーゼル)を投入。柿谷を左外に入れて機動力を高めようとした。そんな終盤、武藤の強烈ミドルが左ポストを直撃する決定機が生まれるが、これも決まらない。後半ロスタイムには残り2分でピッチに立った森岡亮太(神戸)のスーパーパスも出たが、この日の日本は生みの苦しみなのか、本当にゴールが遠かった。
結局、試合は0-2のまま終了。アギーレ体制は苦い黒星からスタートすることになった。数多くの新戦力が国際舞台を経験したことは収穫だったが、攻守両面の課題で未完成の印象が強かった。その課題をどう修正していくか。新指揮官の手腕が問われる。