初陣のウルグアイ戦は布陣も戦い方も手探りの中ではあったためか、攻撃の単調さが目に付いた。中盤のアンカーに本職がDFの森重真人が入り、インサイドハーフをバランス感覚に優れる細貝萌と積極的なしかけが持ち味の田中順也で構成したが、ボールを持ってから分かりやすい展開が多く、アタッキングサードでは3トップの打開力に頼らざるを得なかった。
そうした状況をベンチから見守っていた柴崎は「ゲームメーカータイプの選手がいなかった」と振り返り、自身が組み立ての部分で存在価値を示す意欲を掻き立てる試合となった。「効果的な攻撃をさらに構築できるように自分の特徴を出していきたい」と語る柴崎は洗練されたパスのスキルを備えながら、ポゼッションにこだわるより長短のパスや時に速いクサビなど、柔軟なビジョンを持っている。その意味ではアギーレジャパンの中でも中盤に落ち着きとアクセントの両方を与える存在になれるはずだ。
ただ、ウルグアイ戦は縦に速い相手の攻撃に対し、ブロックを作って守り、カウンターを狙うことが求められていたことも確かだ。
「臨機応変というのはあるが、ゲームメークをするだけがサッカーではないので、相手に応じてサッカーを変えていく必要性はあると思う」と柴崎も語る。
似たポジションで競争する森岡が89分からボランチで投入され、短い時間でも可能性のあるパスでスタンドを沸かせた。柴崎もそうしたプレーを出してゴールに絡みたいはずだが、「まだ決定的なパスを出す前の段階でビルドアップが大事だと思うし、チャンスを生み出す前のパスが入ることによって前の選手の攻撃性が生かされる」と優先順位を考えている。
「正直そんなに具体的なインサイドハーフの指示はない」と語る柴崎だが、だからこそ彼なりのビジョンで攻撃のリズム、そしてチャンスを作ることが指揮官の評価に直結するはずだ。ベネズエラ戦で出場機会があれば、遠藤保仁が背負ってきた7番を“継承”する男のプレーにぜひ注目したい。(河治良幸)