その才能、センスは、チーム内外の誰もが認めるところだろう。トップ昇格後、プロ1年目からコンスタントに出場機会を獲得し、主将の大谷も「チームの中心にならないといけない存在」と評価する。しかしこれまで、周囲の期待ほどのプレーを示してきたとは言い難い。J1第9節の浦和戦(3○2)で見せたような難易度の高いゴールを決めることもあれば、試合の流れに埋没することもある。今季は、後輩の小林に先発の座を奪われることもあった。心中は穏やかではなかったはずだ。ただ、この日を含めた直近の公式戦3試合は先発出場の機会を得た。そしてチームも3連勝と、結果が付いてきた。
中でも、この試合ではその能力を存分に発揮。劣勢の展開が続く中、中盤で前を向くと絶妙なスルーパスで同点ゴールを演出し、さらに、相手の激しいチャージを振り切り逆転ゴールの起点にもなった。後者は、ともすればひ弱さを感じさせるような選手であった茨田が強さを出すという、進化を感じさせた瞬間である。
彼は以前、こんなことを言っていた。「(中心に)ならなきゃいけないプレッシャーはある。でも、自分のサッカーがJリーグでどこまで通用して、どこまで楽しくプレーできるのかという思いがある。まずはそこを楽しみながらやってから、工藤くんやタニさん(大谷)のようになれればいい」。この日のようなプレーが継続できれば、きっとその希望が叶う日は遠くないだろう。(石原遼一)