遡ること2年前の11月。遠藤航はJ2でJ1昇格戦線を戦う湘南を離れ、AFC・U-19選手権に向かった。当時の湘南は京都や千葉らと自動昇格枠である2位を争っており、J2首位を走る今季のように“J1昇格”に向けて大きなアドバンテージがあるわけではなく、残り3節を残して守備の要である彼が抜けることは大きな痛手であった。チームを離れる直前の試合後、彼は「みんなを信じて代表に集中して戦ってきたい」と笑顔で語っていたが、その表情と言葉の端々には「絶対に昇格を成し遂げてくれるだろう」というチームに対する強い信頼感と、自身が臨む国際舞台への強い意気込みが溢れていたのが印象深い。
しかし、湘南が最終節で2位を勝ち取って昇格を果たした一方、U-19代表は準々決勝でイラクに敗れ、U-20W杯の出場権を逃した。遠藤はその2年前のAFC・U-19選手権も飛び級でU-19代表に選出されたが、同じく準々決勝、韓国戦で苦杯をなめている。2大会連続で世界への道を閉ざされる悔しさを味わっているのだ。さらに今年1月のAFC・U-22選手権でも準々決勝でイラクに敗れた。高校3年生でJ1デビューと得点を記録した“エリート”だが、国際大会においては挫折ばかりを経験してきた。ゆえに、今大会に懸ける意気込みは強い。
合宿初日(8日)の練習後、「短い期間でもチームとして完成度を上げなければいけない。それが代表だし、代表選手だと思う」と彼は語った。戦術を合わせる時間は限られているが、それを言い訳にはしない。そこには2年前にアジアの舞台を前に笑顔を見せ、“楽しみ”にしていた彼の姿はなかった。「2年前はチームが昇格してくれたにもかかわらず、代表で僕が結果を残せずに帰ってきた。今回は結果を残して日本に帰ってきたい」。人一倍経験してきたこの悔しさを晴らすのは、同じ舞台でしかない。強固な決意とともに、遠藤航の“アジアへのリベンジ”が幕を開ける。(竹中玲央奈)