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代表国際親善試合
9/9(火) 19:20 @ 横浜国

日本
2
0 前半 0
2 後半 2
試合終了
2
ベネズエラ

Column 試合後コラム

技術と根性。それがないと試合では使われない/ANGLE 解説・小見 幸隆

2014/9/12 10:57

武藤はなかなか面白いかもしれない

 ベネズエラ戦では若い二人(武藤嘉紀、柴崎岳)が点を取った。その事実は良いことだ。

 武藤は利き足ではない左足で決めた。ああいうシュートをコンスタントに打てるならば、かなり期待ができる。あまり褒め過ぎると良くないかもしれないが、1試合前でポストに当てるシュートを打って期待をさせておいて、実際に次の試合で決めるのはなかなかできない。大したものだ。その二つのシュートの場面では、遠目からしっかりとボールにミートさせていた。しかも、シャープな動きで。蹴るテクニックの高さを見せたシーンだった。ベネズエラ戦では、右に走ってフリーになろうとした本田圭佑を無視して決めた。彼はそういう意味で“人生音痴”かもしれないが…、良いと思う(笑)。なかなか面白いかもしれない。

 柴崎が奪ったゴールは、ボールがセンターサークル付近にあったところからのカウンターだ。左からクロスが上がって、人がいないはずのファーサイドに柴崎がいた。ゴールが欲しくて中央に入っていった本田の裏に、クロスが上がってくるだろうという読みで上がっていたんだ。そこに、彼なりの“読み”があった。

中盤の人選にこれからも注目したい

 5日のウルグアイ戦に比べると、ボールの扱いに長ける選手が前線に増えた。具体的に言えば、柴崎、そして大迫勇也と柿谷曜一朗だ。前線でタメができると、試合としては面白くなる。それは選手の意識が変わったのではなく、人が代わったということ。ただ、すべてのポジションにテクニシャンが入ると、難しい問題も出てくる。たとえば、森重真人が入ったポジション(アンカー)と、細貝萌が入っているポジション(インサイドハーフ)。彼らのところに、もっと技術に長けた選手を入れれば、単純にボールの回りは良くなる。そこで問題になるのは、チームは勝負の懸かった試合をしているということ。守備面で良さを見せる森重と細貝の必要性はそこにある。森岡亮太をそこに入れればいいという簡単な話でもない。柴崎にしても、細貝ほどの守備面での強さはない、前の3人(3トップ)、そして中盤の3人のところに攻撃的な選手を置くか、守備的な選手を置くか。その判断にこれから注目したい。

 ハビエル・アギーレ監督の[4-3-3]は、選手にとっては分かりやすいと思う。一人ひとりの役割がはっきりしているからだ。[4-4-2]ほど、流動的にプレーしないといけないことはない。森重の役割ははっきりしている。その前にいる二人(インサイドハーフ)も、前に出ないと“2列目”にはならないわけで、攻撃では前に出て行ってOKだ。サイドのFWは中に入ってトップの選手らと絡む。センターFWの大迫がまずやらなければいけないのはポストプレー。といった具合に、動きと役割に難しさはそこまでない。

田中順也はどん欲さに欠けた。残念だ

 アピールした選手、していない選手が分かれた2試合だったと思う。今回の代表で初出場だった水本裕貴は、自身のミスからボールを奪われ、結果的にPKを与えてしまった。厳しいと思ったら簡単にクリアすればいい。無理につなごうとするのが一番良くない。それは自分が一番分かっているのだろうが…。今回も出場した田中順也は、途中投入なのにプレーが消極的だった。バックパスをして、ジョギングしているだけというシーンがあった。相手がタイトでないのに、トラップをして前を向いてしかけて、あわよくば左足を振るというどん欲さがなかったのは残念だ。

 ミスもあった。「この選手なら仕方ないな」と試合を見ていたのも確かだが、「危ない!」と思ったら前に大きく蹴ってもいい。そう感じてもパスを回して、相手に取られては元も子もない。あとは、細貝や柴崎、森重がそのあたりをどう最終ラインに話しているか。たとえば水本に対して「早めにパスを当ててくれれば、リターンする。自分をフェイントに使っていい」という会話がしっかりとできていないと思う。4バックの前にいる中盤の3人には、最終ラインのサポートが必要だ。「自分に出していいよ」、という顔付きをしているかどうかは、大切なポイント。「オレに出さなくていい」という目をしていたら、大きく蹴っていい。それなら、直接的に失点にはつながらない。まだ厳しく要求したらかわいそうな時期だが。

方向性はこの2試合では見えなかった

 これからハビエル・アギーレ新監督がどういう方向性でやっていくのか。この2試合ではあまり見えてこなかった。ただ、気質を見れば、中南米の人であるということは間違いないだろう。結局は、テクニックとファイティングスピリッツ。その二つだ。それは、ブラジル、アルゼンチンなどと変わらない。技術と根性。それがないと試合では使われない。この2試合は“試した”、という部分も多かったが、間違いなくこれからは南米サッカーの原点が基準となった選考になっていくだろう。「あのとき呼んだ選手はなんだったの」というような世間の論調は、出てくるかもしれない。

◆OMI’S RATING 小見 幸隆の辛口採点

GK 1 川島 永嗣
不合格 あれはダメ。2失点目のミスがなければ、勝っていた試合。GKはあれが失点につながる

DF 2 水本 裕貴
及第点 危険な場面でよく足が出ていたが…。PKを与えた場面は責任感ある彼らしいプレーとも言える

DF 5 長友 佑都
合格 やっぱりいい。相当良いプレーをしないと、周りに褒められないのはかわいそうなところ

DF 6 森重 真人
合格 監督に気に入られたはず。攻撃でも懐が深く、視野も広い。適性のポジションかもしれない

DF 22 吉田 麻也
及第点 無難にプレーした。縦パスの意識はあるが、そのタイミングをつかもうとしている最中だろう

DF 3 酒井 高徳
及第点 「良いフェイント!」と思ったらクロスがゴール裏に…。ひどくはないが、国内にも好敵手はいる

MF 13 細貝 萌
及第点 守備はいい。もう少し、パスやドリブルなど攻撃面に磨きをかけられればいいのだが

MF 7 柴崎 岳
合格 堂々とプレーしていた。高校1年生のときから知っているが、「やっと出てきたな」と感じる

FW 4 本田 圭佑
及第点 しばらくエースでやってもらわないと。点に絡んでほしいが、あまり悔しがらなくてもいいと思う

FW 11 柿谷 曜一朗
及第点 後半も出たかったと思う。前半で1点を決めていれば…。大迫とのコンビも、面白いかも

FW 18 大迫 勇也
合格 意外と良かった。90分出ていたら、ゴールできていたと思う。結構、プレーも色っぽかった

MF 8 田中 順也
不合格 やはりインサイドハーフは窮屈な印象。中央でのボールの受け方にも不慣れな感じしか受けない

FW 9 岡崎 慎司
合格 特長はみんなも分かっている。ポストプレーでの技術は求めていない。計算の立つ選手

FW 14 武藤 嘉紀
合格 ポストに当てた次の試合で点を取るとは大したもの。蹴るテクニックが高いのも良い

監督 ハビエル アギーレ
及第点 試している部分が多かった。これでテクニシャンを置いたほうがいいとはっきりしたはずだ

小見 幸隆(おみ・ゆきたか)
1952年12月15日生まれ。東京都出身。69年に読売クラブ(現・東京V)に入団してMFとして活躍。日本代表にも選出された。引退後は読売クラブ、V川崎のトップチームやユースチームの監督を歴任。06年より柏で強化に関わり、12年秋まで強化本部統括ダイレクターなどを務めた。

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