武器のセットプレーから活路を見いだす
84分、正面やや左寄り20m弱の場所から狙った松下年の直接FKが熊本ゴールに吸い込まれると、山口監督はベンチから飛び出し拳を突き上げた。2点差を追い付くしぶとさを見せた横浜FCはこれで無敗記録を『14』に伸ばし、勝ち点1を上積み。6位・大分も引き分けたため昇格圏との勝ち点差は縮まらなかったが、得失点差で福岡を上回り8位に浮上。昇格圏もいよいよ視野に入ってきた。
51分に0-2とされて、そこから流れを変えたのはベンチワークだった。まず内田に代えて飯尾を投入。さらに松下裕をCBに下げて野上を右SB、小池を右MFへとスライドさせ、松下年を中央へ動かした。そして69分に野村に代えて野崎を入れたことで、ロングボール中心だったそれまでの戦いから一転、ピッチの幅を使った展開が増える。ボールの動かし方をアレンジし、サイドに起点を作ることによって熊本を押し込んだのだ。それでも「ひっくり返すチャンスがあったのに、ひっくり返せなかったのが残念」と山口監督は不満げに話し、松下年も「評価できるのは負けなかったことだけ」と口にするなど、追い付いたことで決して満足していないところにいまの横浜FCの強みがある。前半から熊本のプレッシャーを受けてリズムをつかめず、崩されての2失点は修正が求められるが、武器であるセットプレーから追い付いたことは間違いなく自信となって残りの試合でも生きてくるだろう。
一方、勝ち点2をこぼす恰好で再び順位を下げる結果となった熊本だが、アンデルソンの先制点、仲間の追加点とも、相手のプレスを受ける前の早い攻守の切り替えから攻撃のスイッチを入れ、出し手と受け手のイメージが共有できたゴールだった。この試合に向けた準備がしっかり形になったと言っていい。ただ、リード後の試合運びも含め、まだまだ課題があるのは確か。悔しさを糧としたい。