新潟の策、浦和用のマンマーク戦術を崩したのは一本のロングパス
新潟は、奇策で挑んだ。最近4試合で15ゴールを叩き出した鋭い“矛”と、リーグ最少失点(20失点)を誇る鉄壁の“盾”を備える首位・浦和をいかに崩すか。その策として前節・広島戦同様浦和と同じ[3-4-2-1]のシステムを採用した。田中亜、小泉ら機動力のあるプレーヤーを起用、対面の選手にぴったりと張り付くマンマーク守備で相手の自由を奪いに出る。
序盤は、浦和用の特殊戦術が効力を発揮。パスコースを徹底的につぶして浦和を後退させると、レオ・シルバ、小林の両ボランチが前線にボールを配給しリズムを作っていく。15分過ぎからは指宿を頂点とする1トップ2シャドーの攻撃が機能、柳下監督のプランどおりにゲームは進んでいた。
しかし、浦和・阿部が新潟の左サイドへ送り込んだ一本のサイドチェンジによってマンマークは崩れた。22分、最終ラインの裏へ走り込んだ関根にダイレクトで折り返されると、ゴール前に詰めた興梠に流し込まれて一瞬にして失点。浦和のハイクオリティーな攻撃を褒めるしかない、圧巻のゴールシーンだった。新潟は40分過ぎにレオ・シルバが決定機を迎えたが決め切れず、1点ビハインドで前半を折り返す。
気を取り直して後半へ入った新潟は反撃のチャンスをうかがったが、50分に再び左サイドを突かれる。カウンターから一気にペナルティーエリアに入った森脇の切り返しに対応できず、豪快なゴールを決められた。追い詰められたチームは失点直後に野生児ラファエル・シルバを投入、[4-3-3]に変更して総攻撃に出るが、浦和の屈強な守備網をどうしても突破することができず無得点。浦和の強さとうまさの前に屈した。「前半からビッグチャンスがあった。それを決め切れないとしんどくなる」(柳下監督)。善戦していた新潟だったが、バイタルエリアでの個人技とプレー精度の差は歴然。結果的には、円熟の戦いを見せる首位・浦和の勢いに呑み込まれた。(藺藤 心)