プレッシングスタイルをあくまで貫いたC大阪
浦和のペトロヴィッチ監督が作り上げた可変式の[3-4-2-1]に対し、形を合わせ、いわゆるミラーゲームで対抗するやり方で挑むチームも多い。マークをハッキリさせ、混乱を避けるためだ。ただし、ここ数試合の浦和のスカウティングをした結果、C大阪は「システムを合わせて対抗しても、最終的にはやられている。ならば相手の良さを出させないように、自分たちのスタイルで挑む」(大熊監督)という結論に至った。
「自分たちのスタイル」とは、プレッシング。2トップが起点となって相手を追い込み、それに応じて最終ラインを高く設定。引くのではなく、全体をコンパクトに保つやり方だ。ただし、C大阪のそのような戦い方に対し、「相手の守備のやり方は十分に分かっていた」と浦和のペトロヴィッチ監督。「相手は教科書通りの[4-4-2]のプレッシング。ボールサイドに人数をかけて、ボールを奪う守備をしてくる。そのため逆サイドが大きく空く。相手を片方に寄せて逆サイドに展開するのは意図的に狙った」という。浦和は前半から大きな展開を多用し、C大阪のプレスを消しにかかった。
そんな両チームの意図がピッチに反映され、見ごたえのある攻防が展開された。スコアが動いたのは68分。スローインから杉本がヒールで落とし、受けたカカウがミドルシュートを放つ。鋭く速い弾道を描いた一撃は、日本代表GK西川の手をはじきながらゴールに向かい、そのまま吸い込まれた。それまで、プレスを基調とした守備はある程度ハマるも、奪ったあとの攻撃の質に問題を抱えていたC大阪としては、カカウの“個”で奪ったゴールの価値は大きかった。
その後、全体の動きの質やパススピードが上がった浦和に対し、大熊監督が採った策は、カカウに代えて永井の投入。前線からのプレスの質と量を上げ、あくまで前からの守備にこだわるメッセージをピッチに送った。降格圏から脱出できずにもがいていたC大阪だが、“首位撃破”とともに順位も14位に浮上。降格圏を抜け出した上に「首位相手にも勝てるという自信」(扇原)を取り戻す、大きな一勝を手にした。(小田 尚史)