味スタに駆け付けた4,000人に近いサポーターの前で、選手たちは最後まで走り続けた。それは湘南のあるべき姿であり、そのスタイルを変えずにシーズンを過ごしてきたからこそ、積み上げた成果が“優勝”という結果となった。
今季、湘南の見せたサッカーが革命的かと言われると、決してそうではない。球際で負けないことや相手に走り勝つことなど、サッカーの原点とも言える基本的な根幹から目をそらすことなく、突き詰めたゆえのスタイルである。そこに内容と結果が伴ったことで、誰もが楽しめ、面白みを感じるサッカーへと深化した。
しかし、このスタイルが一朝一夕で作られたものでないことは、誰もがお気付きだろう。“練習がすべて”という指針の中で、厳しい練習を続けてきたからこそ“走り勝つ”ことへの自信につながった。
「走ることに麻痺していますね」。昇格が決まる前、中盤戦から出場機会を増やした岩尾の言葉は印象的だった。連戦であっても、夏場であっても、変わらず相手に走り勝ってきた湘南の選手にとって“走らない”という言葉は、もはや意識の中にないのだろう。そして、それは試合に出ている選手だけに限らない。
「ここまでいろいろな難しい試合があったけど、チームとして湘南スタイルというものを続けてこられたし、それは今日ピッチに立った選手だけでなく、全員が優勝に向かってやってきた結果だと思う」という、試合後に語った丸山の言葉にそのすべてが集約されていた。
“NONSTOP FOOTBALL”。昇格記念のTシャツに刻まれた言葉は、指揮官がミーティング中に残したモノだと言う。その言葉どおりに最後まで走ることを止めなかった緑と青の勇者たちは、多くのサポーターとともに、ついに“優勝”という一つのゴールにたどり着いた。それはクラブ史上、Jリーグでは初めての優勝である。文字どおり“過去最強の湘南”の誕生だ。しかし、まだここは終着点ではない。これからの歴史を彩っていくためにも、まだまだ湘南は走り続ける。(林 遼平)