勝利の要因はベテランの執着心
90分をとおして見れば、船山の2得点で勝った試合だった。しかし、反町監督が「前半と後半ではまったく違う試合」と評したように、開始直後に主導権をつかんだのは大分。その勢いに圧された松本はパスをつなげることもままならず、完全に後手に回っていた。その悪い空気を変えるきっかけが、28分のプレーだった。自陣でパスを回していた大分のスキを突くように、田中が鋭く飛び出してカット。そのボールはすぐにラインを割ったものの、この何気ないプレーで間違いなく淀んだ雰囲気は振り払われ、そこから少しずつ流れは松本へと傾いていった。試合後に指揮官は「今日のMVPだと思う」と田中に賛辞を送った。J1優勝経験を持つベテランが見せたボールへの執着心こそ、サッカーの本質と呼ぶべきモノであろう。(多岐 太宿)