5人目のキッカー、清水の平岡がネットを揺らした瞬間、名古屋の戦いが終わった。残されていた唯一のタイトル、天皇杯。2点差を追い付く激闘の末、最後はPK戦に散った。
天皇杯でJ1と対戦したのはこの準々決勝が初めてだった。いまのチーム力を試せる。「ここからJ1とやれる。本当のカップ戦の戦い」と意気込んでいた西野監督からは、そんなピュアな心意気が感じられた。こんな一コマもあった。3回戦の京都戦。指揮官は試合前から「勝ってレッズとやろう!」と強く訴えていたという。J2軽視の発言ではない。リーグで首位を走る浦和と対戦する意味――。負傷者が続出しチーム作りが難航した時期を越え、やっと真剣勝負に臨むことができていた。それは好サイクルで迎えていたこの清水戦も同じだった。
果たして、この一戦で敗北。PKでの決着とはいえ、結果的にミスから喫した2失点が響き、全治4週間の負傷となったレアンドロ・ドミンゲスがピッチを去ると攻撃面に大きな影を落とした。メンバーを固定して戦ってきた名古屋だけに田口らの欠場も影響したが、だからこそ“チームレベル”を引き上げなければいけない。
今季の無冠が事実上決まった。しかし未完である現状は選手が一番理解している。この敗北を力に変えていけるか。闘莉王が「そんなところ(タイトルを争える立場)にいない」と言えば、永井も前だけを見ていた。「今年はミスでの失点がすごく多いが、恐れずに継続してやることが大事。成長するためには良い経験になると思うし、それが来年につながればいい」。名古屋には未来につなぐための7試合がまだ残っている。(村本 裕太)