勢いを増して、リーグの“ラスト7”へ
11日の天皇杯準々決勝。名古屋4人目のPKが枠を外れ、名古屋サポーターの溜息が響き渡る中、清水の5人目、平岡がペナルティースポットに向かう。「プロで初めてPKを蹴ったが、相手が外していたので、気持ちはラクだった」(平岡)。じっくりと間合いをはかり、GKの逆を突いた。試合開始から2時間37分、清水の4年ぶりの準決勝進出が決まった。
この試合において、負けて得るものは何もなかった。リーグ後半戦10試合を終えて、まだ2勝。負けが込んでいるチームは、勝利を一つでも多く経験しなければいけない。リーグ戦の合間に行われた天皇杯だったが、勝つことが目的だった。
代表招集で欠場したノヴァコヴィッチ以外の顔ぶれは変わらないベストメンバー。直近のJ1第27節・C大阪戦(3○0)から始めた本田をアンカーにした[4-1-4-1]のシステムも変えず、「高さがないぶん『機動力』を合言葉にした」(大榎監督)という5人の平均身長が170cmに満たない攻撃陣という布陣になった。試合は、高木兄弟の兄・俊幸からのボールに「ちょうど目が合った」という弟・善朗がうまく合わせて先制。その2分後には俊幸が追加点を挙げる。5日のC大阪戦は8分に石毛のゴールが決まってから追加点が奪えない状況が続いたが、この日は一気に畳み掛けることができた。その後同点に追い付かれてからもチャンスを作り続けたのは、勝利への意欲の表れだろう。
「120分戦って疲労という代償を払ったが、チームの自信や勢いというところでは大きなプラスだった」(大榎監督)。清水が1試合多いという“アドバンテージ”を生かして、リーグ残り7試合に残留を懸ける。(田中 芳樹)