■横浜Fマリノス
初めて、下の順位を見据えた言葉を発した指揮官
残り7試合で首位・浦和との勝ち点差が『19』。今節敗れると優勝の可能性が消え、今シーズンを無冠で終えることが確定する。実質的には限りなく0%に近い望みではあるが「数字上、可能性がある限りは優勝争いにチャレンジする」と繰り返していた樋口監督。したがって、今節・清水戦の結果次第では横浜FMの残り試合の意味が変わってくる。
そんな分岐点となる試合を迎えるこのタイミングで、指揮官から出てきた言葉は意外なモノだった。「いまの勝ち点37という数字は決して安心できない。残念ながら下を見ながらになってしまうけど」
優勝はおろかACL出場権獲得を目指すにも勝ち点差が開き過ぎており、いまの時点では現実的な目標ではない。そうでなくても横浜FMの残留はまだ確定したわけではない。清水戦を皮切りに大宮、C大阪と残留争いの渦中にいるチームとの3連戦を迎える。順位こそ下位に沈んでいるが、モチベーションの高い相手だけに油断や慢心があってはならない。
別項で挙げたように、けが人続出でチームは非常に苦しい状態にある。7月27日のJ1第17節・名古屋戦(1△1)を最後に、2試合連続で同じ先発メンバーを組んだことは一度もない。今節は主将・中村の先発復帰が濃厚になっている一方で、けが人が集中しているボランチに攻撃的MFの兵藤をコンバートする可能性が高い。「システムを変えなくても、いまいるメンバーで十分回せる」とは樋口監督の言葉だが、ベストメンバーに程遠い布陣であることは明白だ。
より尻に火が点いているのは対戦相手の清水でも、横浜FMとて決して安泰とは言えない。どうやらタフで難しい試合を覚悟する必要がありそうだ。(藤井 雅彦)
■清水エスパルス
ありのままの姿で臨む。この試合で知らしめたい強さ
対横浜FM戦は現在リーグ戦4連敗中で、アウェイでは10年4月以来勝ち星がない。特に公式戦4連勝中で迎えた昨季のJ1第26節、ニッパ球での一戦(0●1)は、中村に徹底したマンマークに付く作戦に出たが、その中村に決められてゲームプランが崩れた。アフシン・ゴトビ前監督は試合後、「なぜナカムラは日本代表に入っていないのか」と記者に逆質問をしたように高く評価していたがゆえ、必要以上に警戒していた。横浜FM戦になると、メンバーを代え、そのたびに新しい作戦を練っていた。
翻って現在公式戦2連勝中の清水は、勢いだけではない強さがある。「みんなが前からディフェンスをする意識がある」と本田が体感しているように、前線からの守備がうまく機能している。距離感も良く、次々とボールホルダーに襲い掛かる清水の網をかいくぐるのは容易ではないだろう。中村と対峙する可能性のある本田は「パスコースさえ消していれば、イヤがって後ろから作ろうとしてくる」と想定。ただし、それはこれまでやってきていることと特別変わりはない。つまり、現在の戦い方を続けていけば、それほど崩されることはないという自信の表れと見ることもできる。そのためには運動量が求められることとなるが、11日開催の天皇杯準々決勝・名古屋戦での120分間の死闘は確実に選手たちに疲労を残している。これには、大榎監督は練習の負荷を若干落として対応するようだ。
今季のホーム開幕戦となった第2節の前回対戦も、7年ぶりの開幕戦勝利のあとの敗戦(0●1)。調子が出かけたところで立ちはだかるのが横浜FMという図式になっている。この壁を乗り越え、自信をつかみつつある現在の清水の強さを知らしめたい。(田中 芳樹)