
代表初先発の相手がブラジル田口らは過酷な選抜テストを受けさせられた
確信犯的な選手起用
まったく一方的な試合となってしまった。いや、これを「試合」と呼ぶべきかどうかと疑問に思う。それほどの格の違いを見せ付けられた。
考えてみれば、当然の結果である。なにしろ、本田圭佑や長友佑都といった中心選手をベンチに置き、代表経験のほとんどない若手を並べたのだ。代表に選ばれたこと自体が驚きのような選手が、ブラジルと戦った。
しかも、ブラジルは中2日の強行日程であるにも関わらず、北京でのアルゼンチン戦とほぼ同じメンバーだった。チームとしての完成度は高く、ネイマール、オスカル、ウィリアンらが次々とポジションを入れ替えながらも、まったくバランスを崩すことがなかった。そして、アルゼンチン戦で2ゴールを決めたタルデリの中途半端なポジション取りも非常に厄介なものだった。この強力な2列目を、代表初先発の田口泰士だけで止められるわけがない。
救いは、この一方的な試合展開は采配ミスなどによるものではなく、ハビエル・アギーレ監督の確信犯的な選手起用によるものだったことだ。
本当に試合として勝負を挑むのなら、ボランチを二人置いてスペースを埋めて守備を強化し、一発のカウンターに頼るしかない。だが、チーム作りを優先するアギーレ監督はそういう勝負のための戦術は使わなかった。
本来なら、ブラジル相手には現時点での最強チームをぶつけるべきで、若手を起用するのなら格下のジャマイカとの試合にすべきだったろう。それを、敢えてブラジル戦で若手を起用したのも、まさに“選手を観察するため”だった。最強の相手に完膚なきまでに叩かれる試合。そんな中で、最後まで前を向いて戦った選手と、自分を見失ってしまう選手がいる。それを見たかったのだろう。選手にとっては過酷きわまりない選抜テストだった。そんなことを平然とやってのけるアギーレ監督の大胆さには驚かされる。(後藤 健生)