渾身のガッツポーズだった。ゴールを決めるとサポーターの下へ駆け寄り、力強く拳を突き出した。李はその行動について「連戦は勝ち切れていなかったので、サポーターの人たちの声援に応えられていなかったし、自分も先発で出てゴールを取れていなかったので、悔しい気持ちがあった。やっぱりゴールはうれしいし、サポーターの人と共有できたことの喜びだった」。
8試合ぶりの先発落ちは「悔しかった」。だが、7試合のうち最初の1試合でしか得点できていなかったのは事実。夏を過ぎ、明らかに体が動くようになったのは自他ともに認めている。前々節・仙台戦(2●4)のように流れが悪くても一発でチャンスを演出するプレーも増えた。しかし、ゴールが遠い。「アシストはもういいから、とにかくゴール」。試合を迎えるたびに、毎週のようにそう話し続けていた。「もちろんゴールだけじゃない」と前置きしながらも、「いまの浦和には単純にゴールしか見ていない選手がいてもいいと思う」とも話していた。
その気持ちがついに結果に結び付いた。チームとしてこの試合で唯一と言っていいほどの鮮やかな流れ。その最後をストライカーらしく泥臭く締めた。「こぼれ球は100回詰めても来ないときもあるけど、それが今日来て、得点することができて良かった」。狙い続けたからこそ生まれたゴールだった。
2週間ほど前、李はこんな話をしていた。今季前半戦の先発と比べて代わったのは自分だけであることを理由に「自分が終盤のキーマンだと思っている」と。それは「活躍すればチームの調子も上がる」という自信だけでなく、「自分が悪いとチームの状態も落ちる」という責任でもある。だからこそゴールを喜びつつも、「2点目を取るチャンスもあったので満足していない」。次は勝利へつながるゴールを。残り4試合、有言実行できれば、望んだ結末が待っているはずだ。 ( 菊地 正典)
李 忠成(り・ただなり)
1985年12月19日生まれ、28歳。東京都出身。182cm/73kg。FC東京U-18→FC東京→柏→広島→サウザンプトン(イングランド)などを経て今季、浦和に加入。J1通算190試合出場52得点。}