1点目はGKイ・ホスンからのキックを胸でコントロールした都倉が豪快に利き足の左足で叩き込んだスーパーゴール。2点目は、敵陣でこちらも上里が得意の左足を思い切りよく振り抜き、無回転シュートでゴールネットを揺らした。2点目については湘南GK秋元が「上里選手にはブレ球のシュートがあるのは分かっていたけれど、それでも決められてしまった」と脱帽する。
この日奪った2得点はともに都倉、上里が個の力でなかば強引に叩き込んだモノではある。グループとしての連動した崩しで生み出したモノではない。
ただし、それをもってチームとしての成熟度が足りないと言ってしまうのは表面的だろう。なぜならば、個の力を引き出すことこそが、シーズンのラスト3カ月というタイミングで指揮官に就任したバルバリッチ監督の“勝利の方程式”だからだ。
バルバリッチ監督が札幌に持ち込んだ[3-4-2-1]は、J2では多くのチームとミラーゲームになり、すべてのポジションがマンツーマンでマッチアップすることになる。その結果、もともと個人能力の高い選手をそろえる札幌が力を発揮できるようになってきた。
攻撃では都倉、前田といった個性的な選手が、守備ではパウロン、奈良といった対人の強さを持つ選手が、自分の得意分野のプレーに専念することで強敵を封じることに成功している。
「そのチームの良さを引き出すシステムこそが、私にとって一番良いシステム」とするバルバリッチ監督にとって、個の力を持った選手がそろう札幌では、それを引き出す[3-4-2-1]こそ最高のシステムなのである。今後も個の力で相手をねじ伏せる試合があるだろうが、それはバルバリッチ監督の狙いなのである。(斉藤 宏則)