■ガンバ大阪
11月22日の浦和との直接対決を見据えず、まずは目の前の一戦に集中
前節・FC東京戦(2○1)を勝ち切り、前々節の柏戦(0●1)に敗れたイヤな雰囲気を一掃したG大阪。ついに浦和との勝ち点差を『3』とし、数字の上では今節にも首位奪還が可能な状況となった。しかし、29日の練習場はごく普通の空気感に包まれていた。
「今までどおり1試合1試合」(長谷川監督)。結果的に浦和を猛追する恰好になったものの、再開後のリーグ戦でチームが見つめてきたのは首位の背中ではなく、あくまでも目先の対戦相手のみ。一戦必勝の姿勢が、巻き返しを支えてきた。仙台戦の次には浦和との直接対決が待つものの、今節を落とせば再び勝ち点差は『6』に開く可能性もある。持てる力すべてを仙台戦に注ぎ込むことになる。
三冠を狙い得る贅沢な立場ゆえに10月は7連戦を戦う過密日程も悩みの種だったが、ひさびさに1週間のインターバルを得ることもありパトリックや宇佐美らも万全に近い状態で仙台戦に挑めるはずだ。前節、出場停止だった岩下も復帰し、ベストメンバーで仙台を迎え撃つがチームにとって好材料となるのは宇佐美の復調傾向だ。「連戦の疲れの底は抜け出した感じがある。あとは点だけ」と長谷川監督もエースの6試合ぶりの得点に期待感をかける。
ただ、「残留争いのチームの必死さは身をもって知っている」と丹羽が語るようにいまの仙台をこじ開けるのは決して簡単ではないだろう。その中で指揮官が勝負の明暗を分けると見据えるのがセットプレーだ。今季チームはセットプレーでリーグ3位の得点を誇る一方で失点の少なさも3番目。前節、J1で直接FK最多ゴールタイ(17得点)とした遠藤のキックが冴えているのは好材料だ。苦しいときにセットプレーから得点が奪えれば試合運びもラクになる。
「 まず仙台に勝たないと始まらない(」長谷川監督)。浦和との直接対決を見据えることなく、これまでと同様にまずは目の前の一戦に集中する。(下薗 昌記)
■ベガルタ仙台
強敵・G大阪から勝ち点3を得るためには武藤の奮起が必要不可欠
前節・柏戦(1●2)は終了間際に勝ち越し点を許すショッキングな結末だったが、「下を向いている暇はない。1試合1試合、全力を尽くすだけ」とリャン・ヨンギは前を向いた。
優勝争いも残留争いも経験した歴戦の勇士・柳沢は言う。「いまはカンフル剤のような刺激が必要な状態ではない。危機感から結果を出し、安定につなげただけに、基本的な戦い方はそのままに、より強固なものにする努力を全員ですることが必要」。安定した守備面から組織的な攻撃へと良い流れをつなげる戦い方自体には破綻がないため、これをより高レベルで持続させたい。セットプレーでの守備や選手交代時の役割分担の明確化、時間帯に応じた試合運びなど、詰める部分をしっかり詰めて総合力を上げたいところだ。4戦で2勝1分1敗だった10月を上回る成績は、その努力があってこそ付いてくる。
柳沢は「チームに喝を入れる人、落ち着かせる人、勢いをつける人、いまのチームにはそれぞれの役割ができる選手がいる。それぞれがしっかり役割を果たすことが、さらなるまとまりを生むはず」と続けた。役割分担は自然とチーム内でできているようだが、前節の敗戦から立ち直り、強敵・G大阪から勝ち点3を得るには、“勢いをつける人”のもう一押しを期待したい。
その“勢いをつける人”になり得るのが、負傷のウイルソンに代わり前節・柏戦で先発出場した武藤だ。今季の仙台はG大阪と、J1第3節(0△0)とナビスコカップ・第6節(1○0)の計2度対戦したが、攻撃陣で唯一、2戦ともフル出場したのがこの武藤だ。柏戦では同点弾を決めたものの、「勝利につなげられなければ意味がない」と悔しさを露にした。彼が周囲との距離感を修正し、まだ果たしていない2試合連続得点ができれば、チームにはさらに勢いがつく。堅固なベースに鋭い攻撃を加え、仙台は強敵からの勝ち点3を目指す。(板垣 晴朗)