■セレッソ大阪
今季の命運を左右する一戦。覚悟を持たねば“プロビンチアの雄”は崩せない
「大一番」。今節の意味を問われた大熊監督は、間髪入れず、そう答えた。勝てば甲府を上回り、最高で13位まで順位を上げることも可能だが、負ければ甲府と勝ち点6差に広がるばかりか、他会場の結果次第ではJ2降格が現実味を帯びる。まさに今季の命運を左右する一戦だ。
この“決戦”のポイントは、いかに「甲府の守備をこじ開けるか」(大熊監督)。甲府は被シュート数がJ1の18クラブで最も少なく、隙間を空けないゾーンディフェンスの完成度は高い。アウェイでの直近3試合はすべて0-0と、戦術的にもメンタル的にも割り切った戦い方ができるのも強みだ。「(守備を固めてくる相手に対しては)一瞬しかシュートチャンスは訪れない。そこで仕留め切れるか」と南野も話すように、C大阪としては、チャンスで最大限の集中力を発揮したい。
オフ明け29日の練習では、フィジカルを高めるとともに、若手主体の2部練では、フィニッシュの意識を持たせるメニューも盛り込まれた。「ここ数試合、シュート数が少ない。小綺麗に、というのではなく、強引にでもゴールを意識してほしい」と指揮官は話す。一方で、「点を取りにいく気持ちが強過ぎて前掛かりになると、相手が狙っているカウンターにハマる」(大熊監督)。攻撃意識とは裏腹の、90分を通した守備でのリスクマネジメントも勝利には欠かせない。長谷川も、「点を取りにいくことはもちろんだけど、しっかり焦れずに戦いたい」と試合展開を見据える。
この一戦におけるC大阪のテーマは明確だが、甲府と対戦するどの相手も、“守備ブロックの打開とリスクマネジメント”を掲げながら、いざ対峙すると苦しんできたのが事実だ。限られた予算内で城福監督が心血を注いで作り上げた“プロビンチアの雄”を下すには、こちらも相当の覚悟を持って臨まなければならない。(小田 尚史)
■ヴァンフォーレ甲府
甲府は辛抱強く。“若きタレント軍団”の焦りを誘え
城福監督が警戒するのはC大阪の“勢い”だ。
「勝ち試合を見ると、どこにも負けないんじゃないかと思うくらいの試合をやっている」と指揮官は残留争いのライバルを警戒する。C大阪の前線からのプレスが一度ハマれば、主導権は相手のモノとなり、若いチームを勢い付かせてしまうことになる。「若さのデメリットを出させたい。辛抱強くやることが大事になる」と監督が口にするように、落ち着いた試合展開が甲府の望みだろう。
右ウイングバックに定着していたジウシーニョが、今節と次節は累積警告で出場停止になる。「フィットしてきた、コンビネーションが出てきたところでメンバーを変えるのが痛手でないはずはない」(城福監督)。とはいえ代役の松橋は、前節にCBとして川崎Fのレナト、大久保を封じた対人能力の持ち主。指揮官は守備だけでなく「スピード感あふれる駆け上がりなどを出すシーンがあるといい」という攻撃面の期待も口にする。
チームを見るとけが人や出場停止、体調不良などによる離脱者が増えている。総力戦となる残り4節は、今まで以上に「期するモノがあって出ていく新しい選手」(城福監督)の活躍が不可欠。クリスティアーノは今節も先発を外れる見込みだが、城福監督は紅白戦から彼へ盛んに声を掛け、好プレーに対して「しっかり焼き付けるようなアプローチ」(城福監督)を行っていた。90分、何よりシーズンを通して考えれば、不本意な立場にある彼の気持ちを切ってしまうわけにはいかない。指揮官も「チームに貢献しようとする姿勢があれば、いつでも使う用意がある」とフラットな選手起用を強調する。
控えも含めた全員がしたたかに戦って、若きタレント軍団の機先を制し、焦りを誘ってスキを突く――。そんな試合運びに持ち込むことができれば、甲府は残留に向けて前進できるだろう。(大島 和人)