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J2リーグ 第39節
11/1(土) 19:00 @ ベススタ

福岡
1
0 前半 0
1 後半 2
試合終了
2
松本

Column 試合後コラム

10年間の苦闘。そして松本は強くなった

2014/11/3 12:05

 長野県松本市に本拠地を置く街クラブだった山雅サッカークラブ。地元有志を中心に、同クラブをJリーグへと昇格させようという壮大な計画が本格化したのは、いまから10年前の2004年。そのクラブは翌年、『松本山雅フットボールクラブ』へと名称変更。プロ監督として辛島啓珠(現・佐川印刷京都監督)を招へいし、長く険しい道程の第一歩をスタートさせた。

 十年一昔というが、地域リーグ2部にいたクラブはついに来季J1へと舞台を移す。5部リーグからトップリーグへ、わずか10年での稀有なる出世絵巻に見えるかもしれない。しかし、その道程を見つめ直すと、間違いなく苦闘の連続であったとあらためて思う。

 09年途中にチームに加入した鐡戸は、その苦闘の歴史を当事者としてつぶさに見てきた最古参選手だ。JFL、J2、そしてJ1昇格の日々を振り返り、最も厳しかった時期は09年だったという。

 長野パルセイロ、ツエーゲン金沢などのライバルとわずか一つの椅子を巡って争った4季にわたる北信越リーグ1部時代の最終年だ。たった1敗で、それまでの戦いがすべて水泡に帰す全国社会人サッカー選手権と全国地域サッカーリーグ決勝大会。悲願のJFL昇格を成し遂げたアルウィン(松本平広域公園総合球技場)での最終戦には10,965名の観客が詰め掛けた。

「大袈裟に言えば、松本が一つになった」(鐡戸)。JFLへ上がるための“狭き門”に幾度もはね返されながらも、クラブの根っこは街の深く深くに張っていった。

 11年についても、触れないわけにはいかない。横浜FMの松田直樹の獲得を始め、熊本からMF渡辺匠、水戸からFW片山真人など多くのJリーグ経験者を獲得したことで開幕前は優勝候補の一角にも挙げられていた。

 しかし、フタを開けてみれば例年のように低空飛行を重ねた。吉澤英生(現・鳥取U-18監督)監督の解任という荒療治を経て、少しずつ状況が上向きだした矢先の松田急逝̶̶。仲間を突然失ったことでチームは混乱。綱渡りのシーズンとなったが、最終盤に怒とうの連勝を見せ、町田ゼルビア、V・ファーレン長崎などほかの上位クラブの結果にも助けられ、J2昇格を果たした。

 シーズン序盤こそ煮え切らない展開が続くが、終盤になると真価を見せる。その劇的な戦いぶりを、人は『山雅劇場』と呼ぶ。しかし今季に関しては、劇場の帳が開くことはなかった。ロケットスタートを企図し、開幕前のキャンプから例年にないハイペースで準備を重ねた。その結果、開幕から着々と白星を重ね、連敗もわずかに一度だけ。9月こそ勝利なしと足踏みしたが、10月は一転して3勝1分と負けなし。2度のJ1昇格経験を持つ指揮官の下、選手たちもそのルートを迷いなく突き進んだ。

 地力に勝る磐田や京都、千葉が苦しむ中で3試合を残しながら、2位を確定。ここまで積み重ねた勝ち点は『77』。湘南の独走で目立たなかったものの、例年ならば優勝争いをしていてもおかしくない数字だ。

 手に汗握るドラマはなかったのかもしれない。言い換えれば、当たり前のことを当たり前にできたからドラマは不要だったのだ。シーズン最初から最後まで、松本の強さは紛れもない“ホンモノ”だった。(多岐 太宿)

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