大雨にさらされた長良川はまるで田んぼだった。芝生の至るところで水しぶきが上がり、ボールがまったく動かない。戦術や狙いが無効化されたピッチで唯一無二の策となったのは『蹴って、走る』ことと『セットプレー』。それが一番勝利に近い方法であり、実際この形から全5ゴールが生まれた。
サッカーの概念をかなぐり捨てた雨の戦い。割り切るまで時間を要した岐阜に対し、大分は最初から最後まで「勝つためのサッカーに徹してくれた」(田坂監督)。最終ラインの裏にボールを蹴り込み、それが止まることを信じて攻撃陣が猛烈プレス。守備では執拗なまでのセーフティープレー。どちらに転んでもおかしくない試合だったが、勝利を手にした大分には割り切りの強度と不測の事態にも負けない高い組織力があった。(村本 裕太)