◆ごく当然の選出と言えるG大阪の三人

遠藤(右)と今野、東口とともに、実力は十分だ
あくまでも日本最高の選手たちで構成されるのが日本代表の定義ならば、G大阪から選ばれた三人の顔ぶれはごく当然の選出だ。
宇佐美貴史の代表選出の有無が話題になっていた先月、長谷川健太監督は「ヤット(遠藤保仁)とコンちゃん(今野泰幸)も十分やれる」と予言めいた発言を残していた。
中断明け後のリーグ戦の快進撃を陰で支えているのが遠藤と今野のダブルボランチだ。CBとして苦渋を舐めたW杯ブラジル大会を終え、本職のボランチで再び高みを目指すことを誓った今野は、アギーレジャパンが目指す攻守の切り替えや球際の強さを発揮している。
いかに指揮官が堅守速攻を掲げようとも、選手の絶対的な地力で勝るアジアでの戦いにおいては自ずと能動的な戦いになるだけに、ボールの落ち着きどころとして遠藤が選出されたのもごく当然の成り行きだとも言える。ましてやG大阪の7番は最近、守備面でもアグレッシブなプレーを見せ続けているのだから。
前述の二人がややサプライズ選出だとしても、ごく当然のメンバー入りが東口順昭だと言える。長谷川監督もそれを待望していた。ことセーブに関してはJリーグイチの安定感を見せているが、「代表に入るためのプレーはしていない。あくまでもG大阪での好プレーの延長に代表がある」と東口は語る。彼の言葉どおり、クラブでの好パフォーマンスがG大阪トリオの代表入りにつながった。(下薗 昌記)
◆アジア連覇には彼の力が欠かせない DF 内田 篤人

けがから復帰後、コンディションは上昇中
シャルケ加入後4人目の監督となるロベルト・ディ・マッティオの就任以降、全試合にフル出場して早くも厚い信頼を勝ち得ている内田の存在を、ハビエル・アギーレ監督が気に掛けていないはずはなかった。現在もテーピングを巻いたままでのプレーが続いており、欧州CLも並行して戦う過密日程の中で状態は完璧とは言えない。しかし、戦線に復帰してから順調に調子を上げているという事実がアギーレジャパン初招集を後押しした。
復帰はいかにも内田らしかった。ドルトムントとのダービーを控え不調に陥るチームのために予定を早めて復帰。気持ちのこもったプレーで勝利に貢献した。10月7日の監督交代後もフル出場を続け、先日には契約を更新。内田の契約延長はファンからも快く受け入れられ、直後の試合では試合前のメンバー発表で名前が呼ばれるとスタンドが沸き上がった。内田もそれに応えるかのように決勝点をアシスト。その後は内田がボールに触れるたびに「ウシ(! 内田のシャルケでの愛称)」の声が響き渡った。
ドイツ-日本間の往復による負担は決して小さいモノでなく、ケガの再発のリスクも否めない。しかし、日本代表が再びアジアを制するためには内田の存在は欠かせない。ブラジルW杯では実力を出し切れずに終わった選手が多かった中、欧州CLという最高峰の舞台で戦い続けている由縁を見せ付けた右SBの経験が、若手選手の多い現代表にもたらす効果に期待したい。(山口 裕平)
◆今季はリンクマンとしてプレーMF 乾 貴士

リーグ戦では10試合中8試合に先発
出場機会を得られず燻っていた昨季から一転、復活を果たしていた乾貴士が日本代表に復帰した。今季はここまで公式戦11試合に出場。まだゴールはないが、二つのアシストを記録している。かつてブレーメンでミクー、ジエゴ、エジルといったトップ下を次々と育てたシャーフ監督が今季からフランクフルトを率いており、スピードと技術があり監督好みとも言える乾が重宝されている形だ。現在チームは不調に陥っており、メンバーの入れ替えもあった1日の試合では今季初めて出場機会が得られなかったが、指揮官からの評価は依然として高い。
[4-2-3-1]のウインガーとしてドリブル突破を求められていた昨季までとは異なり、与えられた役割も変化した。今季は主にダイヤモンド型のサイドMFあるいはボックス型の攻撃的MFとして起用され、2.5列目の中央の位置でボールを引き出して前線に供給するリンクマンとしてプレーしている。アギ―レジャパンが採用する[4-3-3]のインサイドMFに相当する役割で、そこでの起用も考えられる。
もしそうなればハードワークを求められることにもなるが、いまの乾なら問題ないだろう。今季は素早い攻守の切り換えから相手の体勢が整わないうちに体を寄せてボールを奪い取る場面が多く見受けられ、その条件を十分に満たしていると言える。監督の求めるポリバレントさを兼ね備えていることを示すことができれば、それは乾が豪州行きに一歩近付くことを意味するはずだ。(山口 裕平)
◆絶好の時期での招集 FW 豊田 陽平

2日のJ1第31節・神戸戦でJ1・3年連続15ゴールを達成
「目指すべきところだと思うので、しっかりやるというスタンスは変わらない。だけど、ぼくの意思の中で『(日本代表に)絶対にいま(入る)』というふうには思っていない」。アギーレジャパンの初陣に向けたメンバー発表が行われた8月下旬、そのリストに名前がなかったことを豊田自身は冷静に受け止めていた。その根底にあったのは、『鳥栖でのプレーあってこその自分』という思いだろう。夏場、首位に立ちながら突然の監督交代劇となった鳥栖は苦しい状況にあった。また、豊田自身もゴールから遠ざかっていた。その状況下では、彼の意識の中に代表という文字が入り込む余地があるはずもなかった。
アルベルト・ザッケローニ監督時代の日本代表に招集された際は、その1トップ像に適応しようと足元でのポストワークを意識する時期もあった。しかし、豊田の良さはやはり、強さと献身性だ。チームのために身を削ることをいとわない姿勢はゴールという結果以上に確実に計算できる豊田の武器。しかし、鳥栖でそうであるように代表でも信頼を勝ち取らなければならない。手っ取り早い方法は当然、ゴールという結果だろう。結果だけで語れない選手であるのは間違いないが、代表という限られた時間の中ではそうもいかない。「アジア杯もある。チャンスはあると思うのでどこかでしっかり機会をつかめるような残りのシーズンにできればいい」。冒頭の言葉のあとに彼はこう続けていた。得点ランクのトップに立ったいま、まさに絶好のタイミングでの招集ではないか。(杉山 文宣)