今季で15年目のシーズンを迎えている佐藤は、幾多のゴールを奪って記録を築いてきた。10月26日のJ1第30節・清水戦でリーグ戦二ケタ得点を達成して“11年連続二ケタ得点”という前人未到の記録を打ち立てたばかり。いまや、生きる伝説となりつつあるストライカーがプロ初ゴールを挙げたのは、15年前のナビスコカップだった。
ユースから昇格して市原(現・千葉)でJリーガーとなった佐藤は、00年4月12日に大分市営陸上競技場で先発出場を果たし17分にゴールを奪った。「プロになってファーストシュートを左足で決めることができた。すごくうれしかったし、それが自信になってリーグ戦の出場機会を得ることができるようになった」。当時の記憶はいまも色褪せずに残っている。
あれから14年が経ちJリーグを代表するストライカーとなった佐藤は、ナビスコカップでの実績も豊富だ。在籍するチームがJ2を戦い出場資格のなかったシーズンを除くと、毎年ナビスコカップに出場し、毎年ゴールを奪ってきた。その数は50試合に出場し、26得点。通算得点で中山雅史氏とジュニーニョに並んでいる。この数字は、佐藤にとって誇りであり活力だ。「ナビスコは若手の登竜門的な大会っている印象がある」と話す佐藤だが、「30歳を過ぎても結果にこだわりたいし、個人的な数字にもこだわりたい」と言う。「なんか反しているようだけど、気持ちは若いしどん欲だからね」と笑みを浮かべた。
そして、聖杯への思いも詰まっている。初めてチームが決勝に進んだ10年は準々決勝第2戦で右肩を負傷し、決勝はベンチ入りするもピッチに立てなかった。何もできなかった失望感に包まれ、「ナビスコの思い出は2010年の決勝で敗れた悔しさしかない」。
今回は4年前の雪辱戦であり、最多得点を更新する絶好の機会でもある。佐藤のための舞台が整っている印象さえあるが、ファイナルへ臨む佐藤の状態の良さが、さらにその印象を濃くさせる。
32歳になっても佐藤は広島のエースであり続けている。夏に出場機会を失った時期もあり、90分間フル出場する試合はほぼなくなった。いちサッカー選手としての感情を抑え切れずにストレスをぶつけたこともあったが、佐藤は「ストレスの消化の仕方もつかんできた」と言う。そして、気持ちをコントロールできるようになったことで10月から量産体制に入った。「ゴールを呼び込むっていう部分で、状態は良い」。独特の感性で好調さを語る佐藤は、ハングリーさて一層魅力を深めている。(寺田 弘幸)