
5日、岡山N戦の先発メンバー
◆J3入り確実! 現在JFL所属のレノファ山口が見せる上昇気流
地元の注目も急上昇
長州に53クラブ目の“J”が生まれる。レノファ山口FCは9日のJFLセカンドステージ第13節で栃木ウーヴァFCを1-0で下し、年間4位が確定。すでに“Jリーグ百年構想クラブ”へ名を連ねており、JFL4位以上という成績条件も満たされた。正式決定は今月19日のJリーグ理事会を待つことになるが、これで来季のJ3入りが確実となった。
“昇格まであと1勝”からが長かった。平均観客数が2千人を超す山口だが、2日のJFLセカンドステージ第12節・ホンダFC戦は、維新百年公園陸上競技場が今季最多の4,568人で埋まった。試合は「押し上げが良くて、全体をとおして主導権を握れた」(上野展裕監督)という会心の内容だったが、勝ち切れずに1-1でタイムアップ。ホームでの昇格決定を逃してしまう。
5日のファジアーノ岡山ネクスト戦(セカンドステージ第4節)は、台風の影響による順延ぶんで、平日夜の開催だった。それでも相手サポーターに伍する“オレンジ色”がカンスタを埋め、地元メディアもその瞬間を取材しようと大挙して岡山までやってきた。TVカメラが6台という、J1のビッグマッチさながらの取材現場だった。 しかし山口はシュート16本を相手に浴びせつつ、スコアレスドローでこの試合を終えてしまう。すんなり昇格を決めたことがないという悪い意味での“山口らしさ”を土壇場で出してしまった。
手間をかけたチーム作りの最中
未熟さは残しつつも、若くて今後が楽しみなチームだ。絶対的エースは24歳の岸田和人。今季は17得点でJFLの得点王にも輝いたストライカーだ。町田からの期限付き移籍のため、彼の去就についてはサポーター、メディアとも気を揉んでいる様子だった。彼は決して“うまい”選手ではないが、ボールを競る、追うプレーで強烈な強みを見せる。21試合で警告10回というカードの多さは問題だが、それを補ってあまりある魅力の持ち主と言える。「初めて1年間フルに出る」(岸田)という中で終盤戦は疲れもあったようだが、栃木U戦では決勝ゴールも決めた。なお双子の弟・翔平は鳥栖に所属するが「性格は全然違う」とのこと…。
ほかにも19歳の右SB・小池龍太や、新潟から期限付き移籍で加入したFW小塚和季、ボランチとして決定的なパスを供給している岩渕良太(なでしこジャパン・岩渕真奈の兄)など、新卒2年目以下の好プレーヤーが多いチーム構成だ。
個性的な選手、攻撃的な選手を擁しつつ、その戦い方は攻守とも組織的だ。守備を見ると選手の配置と距離感にムラのないコンパクトな状態から、踏み込んで奪いに来る。攻撃も「岸田だけでなく、みんなで点を取りに行くのが山口のフィニッシュ。コンビネーションで点を取るというのをずっと練習してきた」と上野監督は強調する。先を見据えた、手間をかけたチーム作りをしている。
昇格が決まった瞬間に、地元のTV局では“緊急速報テロップ”が流れたのだという。レノファのサッカーを目の当たりにして、そして37都道府県目の“Jリーグファミリー”となる山口県の盛り上がりを知って、彼らが今後のJを沸かせるクラブになる予感がした。(大島 和人)