14日のホンジュラス戦(豊田)では遠藤保仁(G大阪)や長谷部誠(フランクフルト)といった実績ある選手たちを大量復帰させ、6−0で圧勝したアギーレジャパン。しかしホンジュラスの状態が芳しくなかったこともあり、選手の真価を問うには微妙なゲームだったとも言えなくない。それだけに、18日のオーストラリア戦(大阪・長居)の重要性がより高まった。ハビエル・アギーレ監督も「この試合は勝ちに行く」と明言。ホンジュラス戦で出番のなかった国内組にメンバーを入れ替えるのではなく、現時点での最強布陣を送り出す方向性を示唆した。
そこでスタメンが注目されたが、リストに入っていたのは、GK川島永嗣(リエージュ)、DF(右から)酒井高徳(シュツットガルト)、吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、太田宏介(FC東京)、アンカーに長谷部誠(フランクフルト)、右インサイドハーフ・遠藤、左インサイドハーフ・香川真司(ドルトムント)、3トップ右に本田圭佑(ミラン)、左に武藤嘉紀(FC東京)、1トップ・岡崎慎司(マインツ)の4−3−3。右ひざ負傷の内田を下げ、太田を入れた以外、前回と同じ選手たちをピッチに送り出した。
対するオーストラリアも4−3−3。日本の選手たちが警戒心を募らせていたティム・ケイヒル(ニューヨーク・レッドブルズ)がケガのためベンチスタートとなったが、キャプテンのミレ・イェディナク(クリスタルパレス)、注目のロビー・クルーズ(レバークーゼン)らが先発出場。相手もガチンコ勝負に挑んできた。
過去の対戦通り、日本の支配率が相手を上回ると思われたが、相手は日本のアンカーシステムを徹底研究し、長谷部の横のスペースを確実に突いてきた。右インサイドハーフのマッシモ・ルオンゴ(スウィンドン・タウン)がドリブルで前線に持ち上がって、右FWのクルーズに展開し、1トップのマシュー・レッキー(インゴルシュタット)に折り返す形を繰り返され、日本はズルズルとラインを下げざるを得なくなる。前半15分には左サイドバック・太田のクロスに抜け出した武藤のヘッドがクロスバーを直撃する決定機は作ったものの、前半20分時点のボールポゼッション率は4対6。岡崎や本田、香川にボールも思うように入らず、明らかに苦しい展開を強いられた。
前半30分過ぎまで4−3−3で様子を見ていたアギーレ監督だったが、あまりにも相手の両インサイドハーフを抑えられず、4−1−4−1のような形になってしまう。そこで35分、ついに遠藤をボランチに下げ、4−2−3−1へと変更。ザックジャパン時代の形に戻した。新たなスタイルにチャレンジ中の指揮官にとっては屈辱の采配だったかもしれないが、選手たちは慣れた布陣になって落ち着きを取り戻す。40分には本田とのワンツーから右サイドで香川がフリーになるビッグチャンスも訪れたが、ゴールには至らない。結局、前半は相手のフィジカルと連動した攻めに押された印象が強いまま、0−0で折り返すことになった。
迎えた後半。アギーレ監督は運動量の上がらなかった遠藤に代えて今野泰幸(G大阪)が登場。長谷部とダブボランチを組んだ。ホンジュラス戦で出番のなかった今野は試合前、「自分が出てもヤットさんみたいに存在感を示せるか分からない」と自嘲気味に話していたが、出るや否や、見事なインターセプトから香川の決定機をお膳立て。中盤で安定感ある守備も見せ、長谷部や香川をより高い位置に押し上げることに成功した。
そして16分、日本は待望の先制点を奪う。本田の右CKに鋭く反応した今野が、中央からファーサイドに回ってフリーになり、豪快なヘッドを叩き込んだのだ。短時間での強烈なインパクトを残した今野は、チームメートからもみくちゃにされながら祝福を受けていた。
この1点で俄然、勢いが出てきた日本は岡崎や本田にフリーでボールが入るシーンが増え、追加点の予感が色濃く漂う。迎えた23分、岡崎がGKとの1対1を防がれて得た左CKのこぼれ球から、森重が右サイドからドリブル突破。中央で待ち構えていた岡崎に絶妙のラストパスを出した。岡崎はかつての泥臭さとは対照的なテクニカルな右足シュートを蹴りこみ、リードを2点に広げた。
巻き返したいオーストラリアは温存していたケイヒルを後半28分に投入。彼を最前線に置いてハイボールで勝負しようと試みた。が、ケイヒルも本調子からは程遠い様子で、以前のような打点の高いヘッドを見せられない。
そんな相手を尻目に、日本は後半途中から入った乾貴士(フランクフルト)が持ち前のドリブル突破でチャンスを作り、豊田陽平(鳥栖)も最前線で体を張ったプレーでチームに貢献しようとする。アギーレ体制初ゴールがほしい香川も果敢にゴール前へ侵入しようと試みるが、最後まで決定機が巡ってこなかった。しかも、後半ロスタイムに守備の集中力の欠如からケイヒルにまさかの1点を献上してしまう。結果的に2−1で勝利したものの、終盤に失点しており、1月の2015年アジアカップ(オーストラリア)に向けて日本は詰めの甘さという課題を残した。(元川 悦子)