布陣変更で手繰り寄せた勝利。それでも本田は釘を刺す
メキシコ人監督が、徐々に動きを見せ始めている。相手に合わせて柔軟に戦術、作戦を変えていく。そうした現実的なサッカーがハビエル・アギーレ監督の特徴であるという。それでも、これまではほぼ一貫して[4-3-3]を崩すことなく戦ってきたため、その素顔があまり見えなかった。ところが今合宿では練習でもそのほかの布陣を試すなど、指揮官の頭脳も1月のアジア杯に向けた実戦モードに切り替わった。
豪州戦の一つのキーポイントは、前半途中に見せた[4-3-3]から[4-2-3-1]へのシステム変更だった。「監督が手を打ってくれたのは非常に助かった」(吉田麻也)。アンカー・長谷部誠の両脇のスペースを自由に使われ相手にペースを握られる中、遠藤保仁を一列下げてダブルボランチにすることで、チームは途端に落ち着きを取り戻した。後半にボール奪取力に長けた今野泰幸が入ると、さらに守備から攻撃の転換がスムーズになり、豪州を攻め立てていった。
世界での日本は、格上にも格下にも挟まれる立ち位置だ。相手によって布陣も選手のタイプも使い分ける必要がある。その意味では、この監督が就任した利点が、どの試合よりも理解できた90分間だった。 一方で、本田圭佑はあくまで“練習試合”とも強調し、高揚した空気に釘を刺した。
「やっぱり本番とは程遠い。例えば練習試合だとみんな点を取りたいというオーラが前線に漂う。でも本番はそうはいかない。やはり取る選手が取る。いまはみんな生き残るためのアピールの場。出すべきコンビネーションを出し損ねているケースはやっていて感じる。わざと消している部分もある」
やたら無闇にシュートを打つ。そんなプレーは公式戦ではあり得ない。ホンジュラス戦のようなオープンな攻撃を続けるのではなく、勝利から逆算した戦術の中で得た決定機を確実に生かしていく。それが、本当の勝負の舞台だ。
この11月で得た最低限の手ごたえと、1月に控える本番への戒め。まだ何も成し得ていないアギーレジャパンがアジア杯連覇のために必要なのは、そんな冷静な視点である。(西川 結城)