山口素弘。三ツ沢を愛し、そして三ツ沢に愛された男がその舞台にしばしの別れを告げた。
この日の三ツ沢は今季限りでの退任が発表された山口監督のラストゲームということで、試合前からいつもと違う雰囲気に包まれていた。普段はアップ時にサポーターが山口監督のチャントを一度唄い、監督はそれに応える。それがこの日は3度、4度と繰り返され、キックオフ直前に起こったチャントには、サポーターと一体となって盛り上げるスタッフの姿も見られた。そして、セレモニーでも山口監督へのチャントは鳴り止まなかった。選手、スタッフ、サポーター、三ツ沢に集った誰もが山口監督との別れを惜しんだ。
山口素弘はこれまでに何度か三ツ沢に別れを告げ、その度に帰ってきた。最初に三ツ沢を去ったのは98年。三ツ沢をホームとしたチームの消滅とともに彼も名古屋の地に去った。そして7年を経て、新たに三ツ沢をホームとするチームをJ1に導いた。07年には選手として三ツ沢に別れを告げたが、その5年後にスーツを着て、ここへ戻ってきた。今回もきっと永遠の別れではないはず。それはサポーターが掲げた弾幕にも表れていた。「山口素弘また三ツ沢でやろう!」。
次に会うときは“一体感”を持った三ツ沢で、みんなで祝杯を挙げて喜び合おう。(村田 亘)