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周辺取材ドキュメント 浦和サポーター、試合前の風景

2014/11/28 12:06

歴代コレオグラフィーの数々が埼スタへの道程を盛り上げた



電車内〜浦和美園〜埼スタ

 22日、浦和の8年ぶりの優勝を懸けた、J1第32節・G大阪戦が埼玉スタジアムで開催された。試合会場へ向かう電車内といえば、これから目にするであろうスペクタクルに胸をときめかせ、興奮と雑音が入り混じるのが常である。しかしこの日、埼スタの最寄り駅である浦和美園行きの電車内には、少し息苦しいような、殺伐とした空気が充満していた。それは、乗り合わせたG大阪サポーターに対する浦和サポーターの声なき牽制であると同時に、「果たして、本当に今日で優勝できるだろうか?」という浦和サポーターの不安まじりの緊張感が作り出したモノでもあっただろう。

 浦和美園駅前のロータリーには、早朝にもかかわらず、埼スタ行きのバスを待つ長蛇の列ができていた。スタジアムまで続く歩道には、大きなフラッグがズラリと並び、浦和の歴代スローガン、そして浦和サポーターがここぞという試合で披露してきた歴代コレオグラフィーが掲示されていた。人種差別問題により、3月15日以降禁止されていたコレオグラフィーがついに解禁されるこの日、決戦の地へ向かうサポーターを出迎える粋な計らいである。足を止め見入る人や記念撮影をする姿が各所で見られた。

試合前、埼スタの風景

 7時30分、試合開始まで6時間以上あるというのに、スタジアム前には入場順を決める当日抽選で、“赤山”の人だかりができていた。その“赤山”の何組かに話を伺うと「今日で優勝を決めるつもりで来た。技術でくる感じじゃないのでパトリックは怖くない」と豪語する者がいる一方、「(優勝を逃した)7年前を忘れていない。今日は守備が大事」と慎重な者まで、さまざまな意見が混在していた。

 当日抽選が終わると、列を成していた人びとは散開し、思いおもいに入場までの時間を過ごす。腹ごしらえをする者、広場や芝生でボールを蹴る子ども、宴会を始める集団まで、多岐にわたっていた。

 10時30分、入場が開始される。空っぽのスタジアムに熱がこもり、コンコースには人があふれた。興奮がスタジアム全体を包み込み、意見や過ごし方の違うサポーターが「今日ここで優勝する」という同じ思いのもと、大きなうねりに集約されていく。

 そして選手が入場。特大の「WE ARE REDS」が轟々と響き渡り、約8カ月ぶりのコレオグラフィーが姿を現す。赤と白と黒の縦縞模様。これまでのモノに比べれば、いたってシンプルである。しかしそれは、浦和のユニフォームを構成する3色であり、人種差別問題によって無観客試合も行われた埼スタで「同じユニフォームを着て、一緒に戦う」というサポーターの意思表示ではなかろうか。ピッチ、スタンドが一体となり、スタジアムの熱が最高潮に達した14時4分、試合が開始された。

 結果的にこの試合を制したのはG大阪だった。最高の舞台、最高の雰囲気での優勝を逃した浦和。もし優勝争いがこのまま最終節までもつれ込むことになれば、その舞台は再度の埼玉スタジアム。7年越しの片思い成就に、お預けをくらったサポーターの緊張と興奮は、この日のG大阪戦とは、比べものにならないほど充満するに違いない。(横川 僚平)

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