3位という少し微妙なポジションがそうさせるのか、鹿島の選手たちにプレッシャーを感じる様子はまったくない。試合で勝つことに集中し、試合で勝つために日々の練習に全力で取り組むことができており、どの選手もいまのチームを「良い状態」と形容する。選手たちもいまの状況を楽しめているのだろう。だが、ここに至るタイミングがもしかしたら遅かったのかもしれない。優勝のプレッシャーを直接受けずに来た反面、自力優勝の可能性がないということは、勝っても3位のままシーズンを終えるかもしれないということだ。
小笠原は普段から、「全部勝つ」という言葉を何度も何度も重ねてきた。勝つためには何をしなければいけないのか。勝つべき試合を勝たないと何が待っているのか。勝つことに集中できるようになったいま、その意味するところを若い選手たちはようやく理解したはずだ。
優勝の可能性を残して向かう最終節に対し、「勝つしかないので」、「勝つだけです」と、若い選手たちはまっすぐな言葉を返した。しかし、「鹿島のユニフォームを着て(試合に)出たら勝たないといけないし、試合というのは成長の場じゃない。勝つためにみんなが真剣にやらないといけない」というのが、ジーコスピリットを継承する小笠原の哲学。すべての試合で「勝つしかない」という心理に達し初めて同じ土俵に立てる。
優勝には届かないかもしれない。しかし、この1年で20歳前後の選手たちは大きく成長し、チームは一致団結した最高の状態で最終節を戦える。
あきらめた選手は一人もいない。(田中 滋)