あとワンプレーを耐えられず、失意のドロー
劇的であり、痛恨。結果として勝ち点1を分け合った。この引き分けで鳥栖の優勝の可能性は完全に消滅し、浦和の優勝の可能性も極めて低くなった。それでも鳥栖の選手たちは両手を挙げて歓喜し、浦和の選手たちはひざから崩れ落ちた。その光景はあまりに対照的だった。
鳥栖がJ1に昇格した2012年以降、ベアスタの鳥栖戦は浦和にとって2戦2敗と鬼門。今回も試合の流れは過去2年と同じだった。鳥栖が守備ブロックを作りながらロングボール主体の攻撃を展開する。しかし、浦和には明らかに成長の跡が見られた。ディフェンスラインは明らかに分が悪い豊田との空中戦にも那須を中心に体をぶつけながら必死に耐え、中盤もセカンドボールを拾った。過去2戦で4得点を決められている“浦和キラー”豊田をしっかりと封じ込め、自分たちはチャンスを作っていく。
そして後半に入り67分、選手交代によって今季初めて右サイドに回った宇賀神がディフェンスラインの裏にロングボールを送ると、前半から前線で体を張っていた李が抜け出しPKを獲得する。優勝を懸けたと言っても過言ではないPK。想像を絶するプレッシャーが掛かる場面だったが、「あまり鳥栖のサポーターのほうを見ないで浦和のサポーターのほうを見ていたらリラックスできた」という阿部がゴール左隅に決め、69分に浦和が先制する。
鳥栖はPKを与えた菊地が退場になり、前線の池田に代えてCBの小林を投入。それでも鳥栖は戦い方を変えずロングボール主体の攻撃を続けたが、浦和も必死に耐えると数的優位を生かして、追加点のチャンスを作った。
0-1のまま緊張感のある展開が続いた中、迎えた後半ロスタイム。鳥栖のCK。GK林もゴール前に顔を出して浦和の混乱を招くと、それとは異なるニアサイドで途中出場の小林がヘディングシュートを決めた。ほぼラストプレーでのゴール。その衝撃的な結末は、ピッチ上の表情を二分した。(菊地 正典)