どれだけ攻め込まれてもゴールを許さない
この試合唯一にして決勝点となるゴールは58分に生まれた。左SBで先発出場した奈良輪は利き足の右足にボールを持ち替えてアーリークロスを送る。新潟ゴール前でレオ・シルバが頭に触れたボールは勢いを殺さないままファーサイドで待つ伊藤の目の前に流れてきた。伊藤の右足によってもたらされたゴールで、横浜FMは勝利に一歩近付いた。
すると反撃に出る新潟の攻撃は勢いを増す。伊藤のゴール以前から横浜FMを攻め立てていたが、1点のビハインドを背負ったことでさらに前がかりになった。ピッチをワイドに使う展開から、際どいシュートがホームチームのゴールを襲う。放ったシュート数18本は横浜FMの11本を上回り、特に後半はほとんどの時間でゲームの主導権を握った。
ただし、どれだけ攻め込まれてもゴールだけは許さないあたりがトリコロールの真骨頂だ。中澤とともにゴール前に立ちはだかった栗原は「守り倒した」とニヤリ。サイドの深い位置までえぐられた場面でもゴール前での決定的なシュートだけは許さない。得意とする“脇を締める”守備が力を発揮し、18本打たれたシュートの中に被決定機はなかった。
リーグ最少失点の看板を掲げるチームにふさわしい結果は、粘り強さと集中力の賜物だ。好守の連続で勝利に貢献したGK榎本は「自分だけでなく、みんなで粘って無失点に抑えた」と満面の笑みを見せた。圧勝や完勝という表現が大げさだとしても、決して辛勝ではない1-0である。今季15度目の完封試合は、らしさ満点の勝利だ。遅まきながら強い横浜FMが蘇り、2014年のホーム最終戦で節目となるJ1ホーム通算200勝を達成した。