G大阪が天皇杯で優勝すればACL出場の資格が与えられるという、4位の座を懸けて最終戦に臨んだ鳥栖。だが、同勝ち点で並ぶ柏の試合が大雪のため延期となった。「柏は僕らの結果を知ってから試合ができる。僕らは不利な立場にある」と安田は語り、「だからこそ、勝ってプレッシャーを与えたかった」と力を込めた。快進撃を見せた今季、何も手にせず終わるわけにはいかない。これまでの戦いに対する誇りと意地を胸に鹿島に乗り込んだ。
万全の状態だったわけではない。チームの中心である藤田と菊地が出場停止で欠場。そして、先発出場を予定されていた丹羽もメンバーから外れ、前節から4人を入れ替えて挑まざるを得ない緊急事態。特にチームの生命線となるボランチは高橋と金井という今季初めての組み合わせで、少なからず不安要素を抱えてのゲームとなった。
しかし、試合開始と同時に不安を吹き飛ばす勢いを鳥栖は見せた。優勝するためには勝利が絶対条件の鹿島を上回る積極性を発揮し怒とうの攻撃を繰り出すと、6分に高橋が豪快なミドルシュートを叩き込んで先制する。そして、ボランチも急造とは思えない絶妙な連係で中盤を支配した。「相手のボランチをつぶそうと思った」と金井が言うように、小笠原と柴崎に果敢にプレスを掛けて自由を奪い、遠藤のインサイドワークにも厳しく対応して攻撃の起点を作らせなかった。タイトな守備でボールを奪い、速攻でチャンスを作る。鳥栖らしさ全開に、鹿島を圧倒した。
終盤、鹿島の猛攻を食らうも体を張ってしのぎ、逃げ切りに成功。試合後、豊田が脱水症状で病院に搬送されたことを筆頭に、チーム全員で最後まで走り切った。「1-0で勝つ鳥栖のスタイルを出して勝てたことが良かった」と安田は満面の笑みを見せた。
メンバーが大幅に代わってもブレることのなかったスタイル。まだまだ鳥栖は強くなる――。そう予感させる見事な勝利であった。(佐藤 拓也)